連載官能小説『温泉宿の蜜戯』第1回
仕事の疲れを癒すために、樫田正和は旅行を計画していた。
行く場所は箱根。東京都内で暮らしている正和は、近場で観光地を探していたのである。
そんな中、都会からも近い箱根が候補に上がり、彼は今、箱根の宿にいた。
宿に着き、浴衣に着替えると、早速温泉に向かった。
この宿は、温泉が一つの人気スポットになっており、多くの人間が利用する。
普段、仕事で遅くまで働いている正和は、久しぶりの温泉に気分もウキウキとしていた。
時刻は午後一時。
まだ、時間的には昼食の時間帯だろう。
それ原因なのか、温泉には誰もいなかった。
更衣室で浴衣を脱ぎ、素早く温泉内に入る。まずは体を綺麗に洗い、その後湯船につかり、さらに外にある露天風呂に向かった。
季節は十一月であるが、箱根は山ということもあり、少し寒かった。
だからこそ、露天風呂の環境が丁度よく、気分もすっきりとしていく。
(気持ちいいな)
そんな風に考えながら、正和は湯船につかっていた。
すると、露天風呂に入ってくる、声が聞こえてきたのである。
本来ならば、声を聞いたところで動揺などしない。
しかし、正和はドキッと背筋を震わせた。
その理由は簡単である。
何と聞こえてきた声は、男性の声ではなく、女性の声だったのだ。
正和は露天風呂から出てそばにあった岩場に隠れる。
すると、若い女性の団体が入ってくるではないか。
(な、なんでここに女性が?)
混乱する正和。しかし、今はこの場を何とか乗り越えなければならない。
もし仮に、女性が入っている露天風呂に男性が一人入り混じっていたら、変態扱いされるだろう。もしかすると、警察に捕まるかもしれない。
止めどなく汗が流れ、緊張状態が続く。
露天風呂から出なければならない。しかし、出るためには、女性たちの前を通らないとならない。それだけは絶対にできない。
(どうしたらいいんだ?)
混乱する頭で、考えを巡らしていると、不意に後方から声が聞こえた。
「こっちです」
それも女性の声だ。
咄嗟に、正和は声の方向を向く。すると、そこにはジャージ姿の若い女性が立っていた。
「き、君は?」
「静かに! とにかくこっちに来てください」
言われるままに正和は女性についていく。
すると、女性は露天風呂奥にあったトビラに正和を導いていく。
「ここは従業員用の通路です。掃除をする時に使うんです。さぁこっちに」
従業員用の通路から、無事に露天風呂を出る正和。彼は心底ほっとしていた。
通路は、温泉の外と繋がっており、無事に出られたのである。
「あ、ありがとう。助かったよ」
どうやら、更衣室脇の清掃用具などが収納されている部屋に辿り着いたようである。
全体的に静かな空間が広がっている。
入ってきたトビラと、もう一つトビラがあるから、きっと外に出られるのだろう。
そこで正和はようやく女性を見つめる。
混乱していたから、あまり表情を見る余裕がなかったが、今は少し余裕もある。
女性はまだ若く、恐らく十代の後半くらいだろう。くりくりとした大きな瞳が特徴で、ルックスも悪くない。さらに、スラっとしたスタイルが魅力的であり、若々しさがあった。
「私の所為なんです」
「え?」
「ここの露天風呂は時間によって男性と女性を切り替えているんですが、私がそれを間違えてしまったんです。本当にすいません。だからお詫びをさせてください」
そう言うと、女性はタオル一枚で立ち尽くす正和の前に跪くと、バッとタオルをはねのけた。
あっという間に、全裸になってしまう正和。一瞬何が起きたのかわからなかった。
しかし、女性は正和のペニスを手に取ると、それをゆっくりしごき始めた。
「ち、ちょっと何をしているんだ」
正和は慌てる。見ず知らずに女性にいきなりペニスを握られて、混乱しないわけがない。
「だからお詫びです。静かにしてください」
そう言うと、女性は唐突にペニスを口に含んだ。
温かい粘膜の感触が、正和のペニスに広がっていく。
ペニスは硬く隆起し、どんどんと興奮してくる。
女性は、フェラチオをしながら、一枚ずつジャージを脱いでいく。そして、M字開脚をしながらしゃがみこみ、白の下着を正和に見せた。それほどセクシーな下着ではないが、清純そうなシンプルな白のパンティであった。
その姿を見て、より一層正和も興奮していく。
特に、M字開脚しているから、大事な部分が見えそうになっており、それが一層興奮のレベルを押し上げていく。
さらに、女性は行動的になる。Tシャツ姿から、Tシャツを脱ぎ、ブラジャー姿になると、躊躇なくブラを外した。すると、形のいいバストが露になる。決して大きくはないが、おわん型の形のいいバストであると正和は思っていた。
それ以上に、なぜこの子は脱いでいるのだろう?
なぜ、自分にフェラチオをするのだろう?
お詫びと言ったけれど、そんなお詫びをされても正直困惑するだけである。
しかし、気持ちよさはある。フェラの技術が高いのか、女性は少しずつ、ゆっくりとペニスを舐めまわしていく。亀頭の周りを舐めながら、空いた手で陰嚢を揉み、さらに刺激していく。それだけで、気持ちよさはマックスになる。
「だ、誰か来たら不味いよ」
必死に抵抗する正和、しかし女性はフェラチオを止めない。
「大丈夫です。今の時間帯は、従業員はお客様の昼食の準備で忙しいですし、ここは従業用の部屋なのでお客様だって来ません」
「で、でも」
フェラチオが続く。普段、フェラチオなどされない。彼女もいないし、風俗にだって行かない。だからこそ、正和の性処理は決まったマスターベーションであった。手でしごくのと、口でされるのは気持ちよさが変わってくる。
女性はフェラを続けながら、さらに自分の陰部に手を当て、ゆっくりと刺激し始めた。
その姿を見ていると、堪らなく興奮してくる。
「あん、いいです」
女性の声が漏れる。
一旦フェラを止め、精液と唾液でべとべとになったペニスを、手で素早くしごいていく。るぬるとしていてかなり気持ちがいい。特にここ最近は仕事が忙しくてマスターベーションをする暇もなかったから溜まっているのである。気持ちよさはひとしおだ。
「あのさ、このままだとイキそうなんだけど」
正和は気持ちよさに耐えながら、そのように告げる。
恐らく、あと数分持たないだろう。
「イっていいですよ。思い切り発射してください」
「でも」
「それが私のお詫びの形ですから、顔に出したければ顔に出してももらっても構いません」
あまりの発言に、正和は動揺する。
彼は顔射した経験などない。セックスの経験こそあるが、そこまで豊富なわけではなく、必ずコンドームをしていたのだ。だからこそ、女性の顔に精子を発射させるなんて、完全に別次元の話であった。
ペニスが収縮していき、オルガスムスを感じ始める。
圧倒的な快楽が、正和を包み込んでいく。
「だ、ダメだ! イク!」
そう言った瞬間、正和は勢いよく射精をした。
溜まっていた白濁の精液が、女性の胸の部分に付着した。
「温かいですね。それもこんなに……」
女性は感心したように告げた。
そして精子を手で取ると、それを手で弄び始めた。
射精をし、精液でベトベトになったペニスを、女性は再度口に含んだ。
いわゆるお掃除フェラというやつである。
イッたばかりで敏感になっている正和のペニスは、小刻みに震えていた。
「これで完了。本当にすいませんでした」
こうして、正和は女性から解放された。
温泉に入る気なども起きず、彼は部屋でごろりと横になっていた。
先ほどまでのHな体験が頭から離れない。
同時に、もっとしたいという欲望が生まれてくるのである。
(あの子は一体……)」
そんな風に考えていると、不意に部屋のトビラがノックされた。
慌てて立ち上がり、トビラを開ける。
すると、目の前に先程の女性が立っているのがわかった。
「来ちゃいました」
「え?」
「実はさっきの行為で私も興奮しちゃって……。あ、あの続きしてもらってもいいですか? お時間は取らせませんから」
「一体何を?」
「だから、私とセックスしてください。お願いします」
あまりの展開に、一層困惑する正和であったが、彼のペニスは硬く隆起していった。
体はどこまでも正直である。口では拒絶しても体は拒絶できない。
温泉宿でのHな体験は、これからが本番なのであろう。
正和は深く頷くと、女性を室内に招き入れた――。
〈続く〉
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