連載官能小説『同窓会の帰りに』第1回
今年三十歳を迎えた杉山雄二は、高校時代の同窓会に参加していた。
当初は行く予定はなかった。
彼が同窓会に行く気になったのには、理由がある。
それは、学生時代のマドンナ、白野美琴が参加するからである。
高校時代、雄二は美琴に憧れを持っていた。
告白はしなかったが、ずっと思い続けていたのだ。
高校を卒業して、大学に進み、そのまま社会人になった。
途中、何人かの女性とも付き合った。しかし。心の底では、どこかで美琴を考えていたのである。高校を卒業して十二年が経つ。
十年以上経っているから、学友たちもだいぶ変わっているだろう。
同窓会に出るのは、確か二十歳の時以来だから、十年以上会っていないことになる。
同窓会に参加し、雄二は美琴の姿を探した。
すると、奥の方の席に、一人お酒を飲んでいる美琴の姿を発見する。
美しい……。
三十を過ぎているはずだが、決して美貌は衰えていない。
美琴は、白いタートルネックのニットをきて、タイトなデニムパンツを穿いていた。かなりスリムな女性であり、ファッションモデルと言っても通用しそうなくらいのスタイルをしている。
髪の毛は高校時代はやや長めだったが、現在はショートのボブヘアになっている。前髪がやや長めであり、その前髪を横に流している。大人びた印象があり、雄二はその美貌に見惚れしまった。
(そばに行きたい)
ちょうど、今美琴は一人で座っている。話すのなら今がチャンスだろう。
そう感じた雄二は、美琴の隣に座り込んだ。
そして……。
「あのさ、俺のこと覚えている?」
と、軽くジャブをかます雄二。
すると、美琴はニコッと笑みを浮かべながら、
「もちろん覚えているわよ。杉山君でしょ。あんまり変わらないね」
覚えてもらっていて、雄二は心の底から嬉しくなる。
てっきり「誰だっけ?」と言われると思っていたのだ。
「白野さんは変わったね、髪が短くなった」
「うん、まぁね、最近はずっと短いのよ」
「そ、そうなんだ……」
緊張から、何を話していいのか迷う雄二。
彼はふと、美琴の指を見つめた。
彼女の左手の薬指には、指輪が輝いている。
シンプルだが、それはファッションの指輪ではない。
エンゲージリング。結婚指輪だろう……。
なんだか、リアルな現実を見たようで、雄二はやるせなくなった。
「どうかした?」
急に雄二が黙り込んだから、美琴は不審に思ったようだ。
覗き込むように、雄二に向かって声をかける。
「あ、いや、ゴメン。白野さん、結婚したんだなって思って」
「あ、うん、二年前に結婚したのよ」
「もしかして子供もいるの?」
「ううん。子供はまだ。杉山君はどうなの?」
「俺はまだ独身だよ。相手もいないから、結婚はまだ先になりそうかな」
「そう、意外ね、モテそうなのに」
それはお世辞だろうか?
雄二は決してイケメンではない。それに運動ができるわけでも、勉強ができるわけでもない。つまり、モテる要素は皆無である。なのに、美琴は雄二をモテそうと言った。それは、どこか雄二を嬉しくさせた。
「でも、結婚なんてしないほうがいいよ」
突然、美琴がそう言った。
彼女の顔は、暗黒に染まり、暗くなっている。
目がどんよりとして、先程まで感じた生気が失われていく。
「どうかしたの?」
「うん、ちょっとね、そうだ、杉山君、この後暇?」
「え? まぁ暇って言えば暇だけど」
「二人で別の場所に行かない。聞いてもらいたい話があるの」
それは願ってもない提案である。
同窓会の会場は、チェーン店の居酒屋であり、かなり騒がしい。
ゆっくりと会話するのには不向きである。
「俺は構わないよ」
「ありがとう。じゃあどっかに連れて行ってくれない」
「わかった」
同窓会は、雄二もよく知っている地区で行われていた。
だから、界隈にどんな店があるのかは、おおよそ把握している。
落ち着いた店に向かおう。そう考えた雄二は、あるショットバーに美琴を連れていった。
ショットバー ミズキ
都心の喧騒を忘れさせてくれる静かなお店である。
雄二は常連というわけではないが、数度訪れたことがあるのだ。その時、店の雰囲気が気に入り、いつかは女性と行きたいと考えていた。
バーはカウンターと奥の方にテーブル席が二つある小ぢんまりとした空間である。
静かなジャズが流れている。ビル・エヴァンスだった。
「素敵なお店ね。よく来るの?」
カウンター席は空いている。
そこに座りながら、美琴はそんな風に呟いた。
「いや、そんなに来ないから、ただ雰囲気が良いから話すのにはうってつけだよ」
二人とも、ブランデーの水割りを頼み、それを飲みながら話を始めた。
「実はね、結婚生活が上手くいっていないの」
「そうなんだ。結婚は大変っていうからね」
「夫、浮気しているのよ」
ブランデーを一気に飲み干した美琴は、すぐにお代わりを頼み、そのまま話を続ける。
「だから、私も浮気してやろうって思って……」
「え? 白野さん、今なんて?」
「だから浮気するのよ。ねぇ杉山君、協力してくれない?」
協力?
それはつまり、浮気相手になれということだろうか?
不倫になるだろう。
「不倫って意味?」
「そう、今日一日、私と一緒にいてくれない? これからホテルに向かうの」
雄二は迷った。美琴は憧れの人間である。
だからこそ、こうして一緒にいたいと感じているのである。
結局、酔いの勢いも手伝って、二人はバーを出た後、ホテルに向かった。
ラブホテルであったため、ベッドはダブルサイズで、お風呂もかなり大きかった。
最近のラブホテルは、かなりゴージャスな所があり、カップルたちを楽しませてくれる。
美琴はベッドの横になると、隣に座るように雄二に指示を出した。どうやら、かなり酔っているらしい。
「杉山君、脱いで……」
「え、でもシャワー浴びてないし」
「シャワーなんていらないわ。とにかく脱いでよ」
やや強引に美琴は言い、そのまま雄二のスラックスのベルトを外した。
あっという間に下着姿にされる雄二。
興奮からか、ペニスは少しだけ固くなっていた。
「まだ勃ってないのね。じゃあ私が興奮させてあげる」
そう言うと、美琴は服を脱ぎ、下着姿になった。
黒のレースがあしらわれたセクシーなタイプの下着だ。
憧れの美琴の下着姿を見て、雄二はたちまち興奮していく。
三十を超え、肉体は円熟している。
それでもまだ若々しさがあり、白い肌は艶やかだし、すべすべとしている。
美琴はそのままブラを外し、胸を見せた。
胸もキレイである。まだ垂れてはおらず、ツンと上を向いている。
ショーツは脱がなかったが、胸を見て、既に雄二は勃起していた。
「勃ったわね、じゃあ舐めてあげる」
美琴は大胆だった。
すぐに雄二の下着を下ろし、そのままフェラを始めた。
「ふぐ、凄い、牡の香りがするわ。おかしくなっちゃいそう」
「く、うぁ。白野さん、そんな風に舐められたら」
「イキそうになったら言ってね。受け止めてあげるから」
舌先を使って、亀頭の裏筋を責めたり、陰嚢を揉みしだいたり、美琴はテクニックを駆使しながら、雄二を責めていく。
かなり気持ちがいい。
淫靡な雰囲気が漂い、性的にどんどん興奮していく。
「杉山君のち×ぽかなり大きいわね。それにすごいHな匂いがするわ」
「ゴメン、シャワー浴びていないから、臭うかな?」
「ううん、むしろいい匂い、私は好きかな。私のフェラ気持ちいい?」
「うん最高だよ」
それはお世辞ではなく真実だった。
美琴は嬉しそうに微笑むと、そのままフェラと続ける。
激しくペニスを吸い寄せたり、奥の方まで咥えこんだりと、さまざまな方法で、刺激していく。
(まずいな……、このままじゃあまり持たない)
「うわぁぁぁ。白野さんこのままだと、俺」
「イキそうなのね」
「うん、不味いよ」
「ならそのまま出して、私が受け止めてあげるわ」
「え、でも、本当にいいの?」
「もちろん、その代わり、次は私の番だからね」
美琴のフェラの動きが早まっていく。
ペニスをじゅぼじゅぼと吸いながら、搾り取るようにペニスを刺激していく……。
やがて、雄二はオルガスムスを感じ、ペニスが収縮していった。
「あああああ。だめだ、出る、イクぅ」
次の瞬間、激しく精液が迸った。
それを美琴は口内で受け止めていく。
美琴の口内はぬるぬるとしたザーメンで満たされた。
美琴は精液をすべて口で受け止めると、それをごくりと飲み干した。
その姿を見て、雄二はますます興奮していく。
「白野さん、無理しなくても」
「ううん、私が誘ったんだから、このくらいしないと」
美琴は笑みを浮かべて、ベッドの上に座り込む。
そして、
「さぁ、次は私の番ね、今度は私を気持ちよくして頂戴」
「あんまり自信ないけど」
「大丈夫よ。杉山君なら、きっと私を気持ちよくしてくれる」
何を根拠にして言っているのかわからなかったが、雄二は深く頷いた。
そのまま、美琴の肩を持ち、ゆっくりと彼女を押し倒した――。
〈続く〉
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