連載官能小説『男子になった風紀委員』最終回
「あなた、誠也君とはどんな関係なの?」
不意に、葵がそう尋ねてきた。
恵は少し困っていたが、偽ることなく答える。
「どうって。ただのクラスメイトですけど……」
「もしかして、あなたも魔法を使っているの?」
魔法――。
それはつまり、誠也が持つ性転換の魔法のことであろうか?
誠也が魔法を使えるというのは、学園の噂になっている。だからこそ、ここで葵がそれを知っていても、何ら不思議ではない。
恵はチラッと誠也を見つめる。
誠也は視線に気づいているだろうが、あえて何も言わずに状況を楽しんでいる。
「私も魔法を使っています。葵さんも魔法を?」
「そう。私も使っている。元は男なのよ。でもあなたは元が女みたいね。まだ、話し方が女のままだもの」
「葵さんはそのまま女みたいになっていますよね。もう、長いんですか?」
「うん。一週間くらいかな。もう少しで元に戻るけれど」
「どうして女になったんですか?」
「単純な興味……。かな」
興味。
恐らく、恵と同じような理由があるのであろう。
恵は男子の気持ちを知るために、性転換の魔法を受けた。確かに男子の気持ちを知るという名目があったのだが、それ以上に単純な興味があったのも事実である。男子がどんな思いで生活しているのか、そんなことに興味があった。
風紀委員としてHな本を持ってくる男子に気持ちが知りたかったし、何よりも、男子のリビドーを理解したかったのである。
「そういうあなたはどうして男になったの?」
「私も葵さんと似たような理由です。興味というか、男子のリビドーを知る必要があって」
「ふ~ん。それでここに隠れて私にオナニーを見ていたわけか。意外と変態なんだね」
変態と言われ、恵は黙り込んでしまう。
確かに男子に変化してから、自分は少しおかしい。とにかくHなことがしたくて堪らないのだ。それがなかなか抜けずに困っているのも事実である。
「まぁ良いわ。私、女になったけれど、実はセックスはまだなの。ちょうど試したいって思っていたし。あながた相手なら不足はないわ。ここでしましょう」
意外な展開になり。恵は驚きを覚えていた。
やはり、人は性転換すると、性的な興味が湧くらしい。それを知り、恵は少しだけ安心する。
「わかりました。じゃあ、お願いします」
恵がそう言うと、二人を見ていた誠也が口を挟んだ。
「ようやく決まったみたいだね。なら僕はここから出ていって、誰か来ないか見張っているよ。安心してセックスを楽しむといい」
そのように言い、誠也は一人外に出ていった。
生徒会室には、恵と葵の二人が残された。
まず、動いたのは、葵の方だった。
葵は恵の前に来ると、恵の穿いているスラックスを下ろしていく。
下着姿になる恵。昨日購入したボクサーパンツを穿いている。
「ちょ、な、何を……」
恵が慌てて言うと、葵は冷静に答える。
「何ってフェラしてあげるのよ。したことないけれど、多分できると思う」
ボクサーパンツを脱がされる恵。既に恵ペニスは勃起していた。
「スゴイ、こんなに大きくなっているのね。これが私の中に入るのかしら」
興味深そうに葵が言うと、彼女はそのままペニスを口に含み、フェラを始めた。
(く、うぁ。き、気持ちいい)
マスターベーションとは違う、快楽が恵を覆っていく。
一人でマスターベーションをしても十分気持ちがよかったが、フェラが別格である。温かい口内の質感に包まれていると、それだけで、身体が蕩けそうになる。
「どう、気持ちいい?」
「気持ちいいです。凄い……」
「そうそれならよかった。なら。私の方も気持ちよくして頂戴」
「え?」
「ここは床だけど、横になるくらいできるでしょ。シックスナインしてみたいの」
シックスナインという言葉は知っていたが、やり方はよくわからない。恵はそんな風に考えていた。
まず、葵は恵を仰向けにして、自分の下半身を恵の方むけた。パンティに包まれた白い臀部が目の前に広がる。パンティのクロッチ部分にはわずかに染みができており、濡れていると確認できた。
(葵さん。……濡れてる、興奮しているんだ)
「早くあなたも舐めて頂戴」
女性器を舐めるのは不思議な気分だったが、舐めたいという衝動は溢れ出てくる。
恵は葵の下着を下ろすと、女性器を見つめた。
男になり、生の女性器を見るのはこれが初めてである。Hな本にはモザイクがかかっているし、男になったから、自分の性器を見るわけにはいかない。だからこそ、改めて見た女性器は感動的なくらい神々しかった。
「舐めます」
恵は、葵の性器に舌を当て、ペロペロと舐めていく。堪らない性臭が迸り、気分がくらくらとしてくる。
「あん。いい感じよ、もっと舐めて頂戴」
指で小陰唇を押し開き、膣口に舌を入れて舐め続ける恵。うっとりとした気分になり、もっと舐めていたくなる。葵の性器からは愛液が止めどなく溢れ。それが恵の下の上で踊った。
「そろそろ本番と行きましょうか?」
しばらくシックスナインを続けていると、そのように葵が提案した。
本番。つまり、セックスをするのだろう。
「ほ、本当にいいんですか?」
恵は恐る恐る尋ねる。
しかし、葵は特に怖がる素振りを見せずに答えた。
「大丈夫。騎乗位でイカせてあげるから。あなたはそのまま横になっていて」
「はぁ……。でも」
「いいから、もうここまで来たんだから、止められないわ。さぁ行くわよ」
葵は体の向きを恵の方に向けて、恵をまたぐようにしゃがみ込んだ。
そして、ゆっくりと腰を落とし、自分の性器に恵のペニスを押し当てていく。
ずぶずぶずぶ……。
恵のペニスが、葵の膣内に吸い込まれていく。
温かな感触が、葵のペニスを覆っていく。
(す、凄い、これがセックス)
男子はエロい生き物であるが、どうしてそこまでセックスの虜になるのか、今まで恵にはわからなかった。しかし、今なら確かにわかる。
セックスには魔力が存在していているのだ。男性の本能として、セックスを求めている。だから皆、男子はHな行為に夢中になるのだろう。
「入ったぁ。どう気持ちいい?」
「はい。気持ち良すぎます」
「なら、もっと気持ちよくなりましょう。速く動くわよ」
そう言い、葵は徐々にペースを上げていく。
騎乗位になると、結合部分がよく見える。
だからこそ、どんどんと興奮していくのである。恵自身も快楽を求めるあまり、葵の腰の動きに合わせて、ペニスを突き上げた。
「あん。すごい、あなたのち×ぽが奥に当たって気持ちいいのぉ」
甘い声で叫ぶ葵。
ここが学校の教室であることを忘れているようあった。
だが、そのくらい気持ちいい行為なのである。恵自身もあまりの快楽に混乱していく。セックスの虜になったら、女に戻れないのではないかと思ってしまうのだ。
「もっと、もっと、激しく突いて頂戴」
「わ、わかりました。なら体勢変えませんか? 後ろから挿れれば、もっと速く動けます」
「バックからしたいわけね。わかったわ、そうしましょう」
葵はペニスを一旦抜くと、四つん這いになり、お尻を高くあげた。
ヌレヌレの性器が押し開かれて、より一層エロティシズムを引き上げていく。
バックから恵はペニスを挿入すると、力の限り動き始めた。
このままではすぐに果ててしまうだろう。しかし、それでもよかった。この気持ちよさをもッと堪能したい。その思いが恵や葵を支配している。
「お、奥までち×ぽが当たって、おま×こが気持ちいいわぁ」
「私も気持ちいいです。葵さんのおま×こ最高ですよ」
パンパンパンと、身体がぶつかり合う音がこだまし、やがてオルガスムスを感じ始める。
「葵さん、私イキそうです。どうしたらいいですか?」
「このまま中に出しなさい、どうせまた性転換するんだから問題ないはずよ」
「わかりました……。じゃあ中に出します」
「あぁぁぁん、イク、イっちゃうわぁ」
「うぉぉぉぉぉ」
激しい声を上げて、二人はイッた。
ドクドクと白濁した精液が葵の膣内に注ぎ込まれる。
こうして、二人のセックスは終わりを迎えた。
二人が生徒会室の床で横になっていると、そこに誠也が現れた。
「終わったみたいだね。なら、元の性別に戻ろうか?」
「うん」
と、恵は答える。男子の気持ちは十二分にわかったつもりだ。
これで風紀委員としてやっていけるだろう。
誠也は魔法を使い、葵を男子、恵を女子に戻した。
二人は唖然としながら、状況を見つめていた。
「俺たちセックスしたんだよな」
男に戻った葵は、既に口調も男になっていた。
「そうです。ありがとうございます」
恵が答えると、誠也が最後に言った。
「君たちは両方の性を経験したんだ。きっと、どちらの気持ちもわかるだろう。後は好きにしたまえ」
そう言い、彼は消えて行った。
残された葵と恵は顔を見合わせながら、
「なぁ君さえよければ、改めて戻った性でセックスしてみないか? きっと楽しめると思うんだ」
「え、でも私……」
恵は迷った。しかし、男子の時に経験した性欲が抜けきらない。
「大丈夫だよ。俺たちならできる」
「まぁいいですけど……。私も今度は女の気持ちよさを味わいたいです」
「じゃあ決まりだな。もう一回しよう」
こうして二人は再びセックスをすることになった。
性転換し、両性の気持ちがわかった二人の欲求は、留まることを知らない――。
〈了〉
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