官能小説レビュー 第13回『オフィスで淫して』
引用元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00UMQJBKM/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1
今回紹介する官能小説は、新藤朝陽さんの『オフィスで淫して』です。
双葉文庫から登場している官能小説になります。
ちなみに、淫しては「いんして」と読むみたいですね。
なかなか面白そうな官能小説ですが、どんな作品なのでしょうか?
それでは、早速見ていきましょう
□登場人物とストーリー
【登場人物】
・山本拓馬……主人公の会社員 三十歳
・新山架純……拓馬の会社の後輩
・三島夏樹……拓馬の上司 三十八歳
・芝崎優香……拓馬の同期 三十歳
【ストーリー】
本作品は全5章の構成になっており、基本的には拓馬と架純の二人の話でストーリーが展開されます。その中に、ポイントとポイントで、夏樹と優香の描写があるという感じです。それでは、1章ごとにどんなストーリーなのか見ていきましょう。
〇第1章
拓馬は後輩社員である架純から相談を受けます。その相談はセクハラに関するもので、上司にセクハラされているかもしれないと、架純は拓馬に相談するのです。
そして、実際にそれがセクハラかどうか、拓馬に試してほしいとお願いします。その内容が、胸を揉んだり、パンストを脱がしたりする、Hなもので、拓馬はそれに飲み込まれていきます。
その後、拓馬は酔った架純を自宅まで送っていき、そこでセックスをしてしまします。ただ、目覚めると、架純は何も覚えていないのでした。架純の淫乱さが垣間見える章となっており、セクハラを受けているのではないか?という形で話は進んでいきます。
〇第2章
この章も拓馬と架純のパートです。
少しずつ親密になっていく拓馬と架純の様子が描かれています。主に社内での情事を描写していきます。おっぱいをマッサージしたり、手コキがあったりと、さまざまなプレイが展開されていきます。
極めつけは、イベントで使う予定でしたが、没になりお蔵入りとなったイベントコンパニオンの衣装を着たコスチュームプレイでしょう。爆乳の架純には衣装は小さすぎるのですが、架純はこの衣装を着ます。
衣装を着た理由があり、その理由は、セクハラをしたとされる上司から、衣装を着てみると、なぜ没になったのか理由がわかると言われたためです。架純の衣装姿を見て拓馬は感動するあまり、勃起してしまい、架純にしごいてもらい胸の中で射精します。
〇第3章
このパートは拓馬とその上司である夏樹の話が展開されます。
拓馬はセクハラについて、夏樹に相談します。夏樹は半分ふざけて回答するのですが、拓馬の真剣な顔を見て、セクハラとは信頼があるかどうかによって違うと諭します。
拓馬は夏樹に憧れている所があり、出張中の新幹線の中で、夏樹を揺れから抱き留めた時、興奮して勃起してしまいます。それが夏樹に見つかり、結果的に口でご奉仕してもらうプレイを体感します。
これで夏樹にもスイッチが入ってしまい、出張先のホテルで、二人はセックスをしてしまいます。夏樹は結婚しているのですが、夫が海外赴任しており、セックスレス状態であったため、激しく拓馬を求めてきます。二人とも、激しく昇天したところで3章は終わりを迎えます。
〇第4章
第4章は、拓馬と同期の社員である優香のパートです。二人で飲みに行くと頃から始まり、拓馬は優香が自分を好きだったということを知ります。そして、流れでホテルに行ってしまい、いい雰囲気になります。
優香は拓馬に向かってセックスの相性を確かめると言って、性的な関係を迫ります。
もちろん、拓馬はそれを拒めません。二人はセックスをして、お互いの相性を確認します。目隠しプレイなどをして、二人とも相性がいいとわかり、これからも関係を深めていくのか?と思ったところでオチが待っています。
実は、優香は結婚が決まっており、独身最後の火遊びとして、拓馬を選んだのでした。拓馬はなんとなく寂しい気分を味わいますが、優香を祝福します。
〇第5章
最後の章は再び拓馬と架純の描写です。
拓馬は架純に思いを伝えようとしているのですが、なかなか言い出せません。
そんな中、彼は架純の自宅に行って、セクハラ疑惑のある上司の話をします。しかし、架純がお酒を飲んでしまい、酔っ払い、話はHな方向に流れます。裸エプロンでプレイをしたり、そのままセックスをしたりして、話が進んでいきます。
最終的に、拓馬は上司にセクハラを止めてもらおうと話を付けに行きます。しかし、ここで大きなオチが待っているのです。
実は、上司はセクハラをしていたのではなく、本当に架純を想って介抱しただけだったのです。その善意の気持ちを知った架純は、この上司に気持ちを奪われてしまい、結果的に、上司と架純は結婚してしまいます。
唖然とする拓馬ですが、仕方ないと架純を諦め、普通の生活に戻ります。最後に小松杏奈という架純の同期社員と出会い、新しい恋が芽生え始めた? ところで物語は終わりを告げます。
□主人公がなぜかモテる
主人公の拓馬はそれほど長所がある人間ではないのですが、真面目が取柄で、会社員としても評価もまずまずです。決して営業成績がいいわけではないのですが、どういうわけか、女性とHな関係になります。
これは官能小説だから仕方ないのですが、色々な女性とHな関係になってしまうところは、どこか村上春樹氏の小説の主人公を彷彿させるようで、展開に無理が発生しています。
主人公の印象的なエピソードが何かあれば、納得できる点もあるのですが、会う女性すべてとHな関係になってしまうので、ご都合主義的な展開が多かった印象があります。
それでも官能小説であると割り切って読めば、さほど気にならないかもしれません。プレイ内容はノーマルな内容が多いですが、読み応えはあるので、読んでいて引き込まれました。
□端正な文章で書かれている
この作品は全体的に読みやすい文体で書かれており、サクサクと読めます。
全体で280ページほどのコンパクトな長編官能小説ですが、2時間強で読めるので、じっくりと官能小説を読みたい時や、サクッとHな話を読みたい時に有効です。
諄いような描写もなく、淡々とした展開が続きます。
例えばプレイ中の描写も比較的あっさりしています。
『架純は快感に躰を震わせながらも、少しでも興奮を紛らわせようとするかのように、淫棒を力強く握りしめてくる』
P95より抜粋
このように端正な描写が続くので、読んでいて状況を把握しやすくなっています。
純文学的な文章を求める方には、やや物足りないかもしれませんが、私個人としてはすっきりとしていて読みやすかった印象があります。
□初めて官能小説を読む人にもお勧めできる作品
非常に読みやすくわかりやすい文体で描かれているので、多くの方におすすめできます。
特に官能小説の初心者にとっては、このようなわかりやすい作品から入っていくと、官能小説の素晴らしさがわかるのではないでしょうか?
もちろん、ある程度官能小説を読み込んでいる方にもお勧めできる作品です。
ややご都合主義的な展開が多いのですが、それでも読んでいて引き込まれるシーンがたくさんありましたので、読んで損はない作品であると言えます。
新藤朝陽さんの作品はこれが初めてだったのですが、別の作品も執筆されているので、機会があればまたレビューしたいと思います。
ぜひ、参考にしてみてください。
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