官能小説レビュー 第18回『危険な美獣【先輩の彼女】』
引用元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00KBS1WJ4/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1
今回紹介する官能小説は、前回に引き続き、巽飛呂彦さんの作品です。
『危険な美獣【先輩の彼女】』をご紹介します。
親しみやすい文体でサクサク読める作品ですが、どんな内容なのでしょうか?
ネタバレアリのレビューをしていきます。
それでは、早速見ていきましょう。
□登場人物とストーリー
【登場人物】
・北久保宥……主人公の高校生
・里中穂香……宥の幼馴染
・栗山藍子……宥の担任教師
・真島伸一……美術部の部長
・天知由香里……美術部の副部長
【ストーリー】
本作品は、全7章の構成になっています。
基本的に連続したストーリーになっていますが、やや独立した面もあるので、章ごとにストーリーを解説していきます。
第1章
高校生である北久保宥は、推薦で大学を目指すため、担任教師の栗山藍子から、部活動に入ってみてはどうかと提案されます。そして、彼は美術部に入部するのですが、そこで、部長の真島伸一と天知由香里が乳繰り合っているのを目撃してしまいます。
悶々とする宥でしたが、実は由香里にバレており、彼女に問い詰められます。
由香里にも憧れを持っていた宥は正直に告白し、二人の行為を覗き見したと告げるのです。その結果、由香里は宥に興味を抱き、手コキで、宥を弄び満足させていきます。ここから、宥と由香里の関係が始まっていきます。
第2章
第2章は、宥と由香里のパートです。
宥は由香里に手コキで奉仕されるのですが、その時の気持ちよさが忘れられません。徐々に彼女を求めるようになります。
しかし、由香里は伸一と付き合っており、先輩の彼女と性的な関係になってもいいのかと、宥は迷います。それでも、由香里自身が、黙っていれば問題ないと納得させ、二人はセックスをします。
宥は、由香里とセックスをし、童貞を卒業し、由香里のある秘密を知るようになります。
第3章
由香里とセックスするようになり、宥は徐々に変わっていきます。
彼は幼馴染の穂香に、由香里が好きなのか問い詰められ、セックスをしていると言ってしまいます。
先輩の彼女であるから止めた方がいいと助言されるのですが、宥は止められません。
そんな中、彼は担任教師の藍子に呼ばれ、由香里と性的な関係になっていると告白します。その結果、由香里が多淫であり、男と寝るのが癖になっていると告げられます。
ただ、多淫であるのは、由香里だけではなく、藍子も多淫だったのです。その結果、宥は藍子に襲われて、性的な関係になります。宥は由香里だけでなく、藍子とも関係を持つようになっていきます。
第4章
この章は、宥と由香里、そして宥と藍子のパートです。
前半部分は宥と由香里のセックス描写が続きます。濃密なセックスを展開するだけでなく、クンニリングスの描写など、巧みな性描写が続きます。
続けて、宥は藍子ともセックスを展開します。
藍子と由香里の二人の求めるようになり、宥は快楽の虜になっていきます。
そんな中、美術部が合宿をすることになり、海へ行くことになります。
流れで分かると思うのですが、合宿では、海アリ、温泉アリ、と様々なシチュエーションでHなプレイが展開されていきます。
第5章
第5章は女体合宿という副題がついています。
ただ、この章は、主に宥と穂香のパートです。二人がセックスする章となっています。
まず、宥は穂香に好きだと告白されます。それを受けいれた宥は、穂香を抱きたいと提案し、二人は結ばれます。穂香は処女だったのですが、宥とセックスをして徐々に性的に目覚めていきます。
第6章
続けて合宿のパートです。
宥は穂香ともセックスをするのですが、由香里との関係を断ち切れません。
その結果、伸一が眠っている横で、由香里とセックスしてしまうのです。
ただ、このセックスには裏があって、伸一は実は気づいていたのです。彼は覗き見の趣味があって、あえて宥を泳がせて楽しんでいたと由香里に告白します。
由香里もそれを受け入れるのですが、やがて彼女は宥には穂香という彼女がいるから自分は必要ないと感じるようになっていきます。
6章では、温泉の描写もあります。
温泉で、宥と穂香、藍子が乱れます。温泉での3Pが展開され、濃密なセックス描写が続きます。
第7章
7章は短いのですが、宥と由香里のパートです。
由香里は宥と決別しようと考えており、最後のセックスをします。宥には穂香という彼女がいるのだから、自分は身を引こうと考えるのです。
最終的に、由香里は宥の元から離れて卒業していきます。
宥は美術部に行かなくなってしまうのですが、やがて新しい部員が入部することが決まり、再び美術部に顔を出そうと言うところで物語は終わりを迎えます。
□ストーリーは完成されている
本作品は、主人公の高校生の一年の思い出が色濃く描かれています。
多淫の先輩や教師に襲われて、徐々に性的に目覚めていく宥なのですが、最終的には幼馴染の穂香の元へ戻っていきます。
淡い恋愛小説のようにも読めて、読み応えは抜群です。
ストーリーがしっかりとした中に、豊富な性体験の描写が続くので、読んでいて飽きませんし、ぐいぐいと引き込まれていきます。
□乱交プレイなどは少な目
本作品は、主要な女キャラが3人出てくるので、4Pなども期待してしまいますが、そのような描写はありませんでした。
僅かに、宥、穂香、藍子の描写があるだけで、主に1対1の性描写が続きます。
少し物足りなさはあるのですが、女性キャラが生き生きと描かれているので、問題なく読めます。官能小説は女性を描く文学ですが、見事にそれぞれのキャラを描き切った良作となっています。
また、思わずハッとした部分があるので、紹介しておきましょう。
『燎原の火のように燃え広がった官能が、ある時を境にギュウッ、と凝縮される。睾丸の裏、肛門との間の僅かな部位=会陰が、チリチリと灼けるような痛みとともに、もう戻れない官能のカウントダウンを告げてくる。』
P61より抜粋
このような独特の表現もあり、読み応えがあります。
□多くの方におすすめできる官能小説
巽飛呂彦さんは、たくさんの著作があるだけに、本作品もかなり完成度が高いです。
豊富な性描写は、読んでいて引き込まれますし、エロスに満ちています。
全体的にソフトな描写が続くので、不快な印象がありませんし、多くの方におすすめできる作品です。
ストーリーもしっかりとしているので、それがまた作品の質を押し上げていると感じました。
しっかりとした官能小説を読みたい場合は、本作品を選んでみてはどうでしょうか?
きっと満足できるはずです。
巽飛呂彦さんの作品は今後も機会があれば紹介していこうと思います。
お楽しみに!
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