官能小説レビュー 第27回『単身赴任』
引用元:https://www.amazon.co.jp/%E5%8D%98%E8%BA%AB%E8%B5%B4%E4%BB%BB-%E5%8F%8C%E8%91%89%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%9B%A8%E5%AE%AE-%E6%85%B6/dp/4575519731/ref=tmm_pap_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=
今回紹介する官能小説は、双葉文庫から出版された『単身赴任』です。
著者は雨宮慶さん。人気のベテラン官能小説家です。
不倫がテーマになっている本作品ですが、どんなストーリーなのでしょうか?
ネタバレアリのレビューをしていきます。
それでは早速見ていきましょう。
□登場人物とストーリー
【登場人物】
・江上達郎……主人公の中年サラリーマン
・江上淑恵……達郎の妻
・本橋みずき……ランジェリーショップの代表
【ストーリー】
本作品は全6章の構成となっています。
登場人物はコンパクトに収められており、サクサクと進む内容です。
1つずつ、章を確認していきましょう。
第1章
第1章は、前半に達郎とみずき、後半に達郎と淑恵のパートです。
達郎は新潟に単身赴任しているのですが、東京に帰る新幹線の中で、本橋みずきという女性に出会います。
ここで、達郎は声をかけてみずきと親しくなります。とりあえずみずきとの交流は連絡先を交換するくらいで、まだ発展していきません。
舞台は変わって、夫婦の営みの場面になります。
妻である淑恵はセックスにあまり好意的ではないのですが、達郎が単身赴任をしてから、徐々に変わっていき、セックスを求めるようになっていきます。
ただ、まだまだ恥ずかしさが先行し、求め切れていない印象があります。
達郎はそんな妻を少しずつ変えていこうと、淑恵を激しく求めていくのです。
第2章
第2章は達郎と淑恵のパートです。
達郎は淑恵をもっとセックスに好意的にするために、色々と骨を折っていきます。
それまでは明かりを消してセックスをしていたのですが、明かりを灯したままセックスをしたり、クンニリングスで激しく興奮させたりしていきます。
淑恵も徐々にセックスに心を開くようになり感じ始めます。
それでも、まだ自由になり切れない面があり、それが達郎を悶々とさせるのです。
そんな中、達郎は新幹線で会ったみずきを思い出し、会ってみたいと考えるようになります。
第3章
第3章は達郎とみずきのパートです。
達郎はみずきからもらった名刺を頼りに、彼女がやっているランジェリ-ショップを尋ねていきます。
そこで妻のために下着を購入するのですが、それをみずきに見繕ってもらいます。そのお礼に、達郎はみずきを食事に招待し、ホテルを用意して、彼女と密会します。
みずきは驚くのですが、達郎を受け入れ、二人はいい雰囲気なり、そのまま情事へと流れていきます。
妻にはない濃厚なフェラを感じたり、刺激的なセックスを堪能したりするにつれて、達郎はますますみずきに惹かれていきます。
第4章
第4章は引き続き達郎と、みずきのパートです。
達郎とみずきは男女の仲となり、頻繁に交流するようになります。
ある時、達郎が単身赴任しているアパートにみずきを招き、そこで情事に至ります。
いつも通り刺激的なプレイが続く中、アナルを舐め合ったりするなど、濃厚なプレイが展開されます。
後半では、達郎がみずきを支配し、プチSMプレイが展開されていくので、見所のあるシーンが続きます。
第5章
第5章は達郎と淑恵のパートです。
浮気に罪悪感を得ながらも、達郎は暮らしていきます。
もちろん、妻の淑恵は浮気を知りません。ですが、単身赴任した達郎を激しく求めるようになります。
達郎もそれに答えて、セックスを続けます。
章の中盤から後半にかけて、達郎が下着をプレゼントし、その下着をつけて一緒に出掛けます。
ですが、達郎はみずきを忘れられません。淑恵がいない隙を見計らってみずきとテレホンセックスを堪能したり、エッチな画像を送ったりと、密かに楽しんでいきます。
章の後半では、達郎と淑恵が電車に乗り、その中で痴漢プレイをする描写があります。
それで一気に火が付いた二人は、自宅へ戻ってから激しくセックスをするのでした。
第6章
第6章はみずきのパトロンが突如現れる展開になっています。
達郎はみずきと情事を続け、プチSMプレイを楽しむようになっています。
みずきは真面目な自分を嫌っており、それを罰したいために、虐げられることを希望しているのです。
ある日、達郎はみずきの股の部分にキスマークがあることを発見します。
そこから、みずきにはパトロンがいることが判明するのです。
そのパトロンが、県の政財界の重鎮 遊佐英一郎という人物です。
遊佐は達郎の存在を知っており、みずきの仕事を支援したいから、みずきとは別れてくれと迫ります。
どうやらみずきは下着の勉強のためにフランスに行きたいようなのです。
それを遊佐が支援するという形になっています。
みずきの意思をくみ取り、達郎はみずきから離れます。
そして、最終的には妻の元へ帰って来て、淑恵を激しく求め、改めて幸せを感じるのでした。
□コンパクトにまとまった良質な官能小説
本作品は全体で250枚前後のページ数になっており、コンパクトな官能小説です。
登場人物も最小限に抑えられており、濃密な情事が展開されます。
熟年夫婦のセックスや、女を求めてしまう達郎が若いみずきに溺れていくなど、見所は満載です。
不倫がテーマになっているのですが、そこまで重くなく、ライトな形で物語が進んでいくので、サクサク読むことができます。
(まぁ不倫はいけない行為なのですが、官能小説なので、ご愛嬌ということでまとめましょう)
□表現は端正で親しみやすい文章
官能小説の中には、ものすごく諄い表現が連発するケースが多いのですが、本作品は、非常に綺麗にまとまっています。
諄い表現も少なく、親しみやすい文体で彩られているので、非常に読みやすくなっています。
『煽情的なスタイルの黒い下着のせいで、色白のプロポーションのいい軀がたまらなくエロティックに見える。トランクスを突き上げているペニスがひとりでに疼いてヒクついた。』
P110より抜粋
このような端正な表現が魅力ですので、万人受けする官能小説となっています。
□多くの方にお勧めできる官能小説
本作品は非常に完成度の高い官能小説であると感じました。
徹底的にいらない部分は省かれて、研ぎ澄まされたストーリー展開。
そして、魅力溢れる性描写。どれをとっても一級品です。
セックスの内容に関しては、ソフト系なので、ハードなタイプが好きな方には物足りないかもしれませんが、万人受けする形となっています。
私は、官能小説を書く側の人間でもあるので、文体や描写について細かく見てしまうのですが、バランスの取れた素晴らしい作品であると思いました。
流石は、ベテラン官能小説家の作品らしく、完成度の高い作品です。
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