連載官能小説『温泉宿の女将の甘い誘惑』第10回
孝信とのセックスは、夢のような時間であった。まさか、あんな関係になるとは思っていなかったが、明美は孝信に抱かれて満足していた。
明け方、仕事をしていると、そこに孝信が現れた。その姿を見て、彼女は驚く。そして、激しく動揺してしまう。
「明美さん。ちょっといいですか?」
と、孝信は告げた。
浴衣姿の孝信は、先程まで眠っていたのか、髪の毛に寝癖がついている。
「何か」
「えっと、ちょっと部屋まで来てもらえませんか」
「い、今は仕事中ですし……」
「お願いです。僕はあなたが必要なんです」
必死に頼み込む孝信。
その姿を見ていると、明美は拒否しきれなくなった。
「わかりました。伺います。先に部屋でお待ちください」
「ありがとうございます。では待っています」
孝信はそう言うと、部屋に消えていく。
その背中を、明美は黙って見送った。
心のどこかで、この展開を望んでいたのかもしれない。その証拠に、部屋に呼ばれ、心臓の鼓動は速まっていた。強い興奮を感じ、あそこがじわじわと疼いた。
(私、何を考えているのかしら……)
セックスがしたいという欲望と、これ以上は踏み込めないという焦りが、同時に襲い掛かってきて、彼女を困惑させる。自分はどうすればいいのであろうか?
しかし、もう部屋に行くと言ってしまっている。今更後には引けないのである。
(少しくらいなら……)
そう考え、明美は孝信の部屋に向かった。
一方、孝信の部屋では、孝信と薫の二人が座り込んでいた。孝信は、薫も呼び寄せていたのである。
「あ、あの、何をなさるんですか?」
おずおずと、薫が尋ねる。彼女もここに呼ばれた理由は何となく察している。
昨日、孝信とは淫らな関係になってしまった。恐らく、その続きをするのだろう。背徳感と同時に、期待感もせり上がってきて、彼女を困惑させた。ただ、不可思議なのは、孝信が動かないことだろう。ただ、じっと前を見据えているのである。
「もう少し待ってください。実は、もう一人呼んでいるんです」
「え、もう一人? 誰か他にいるんですか?」
それを聞き、慌てふためく薫。
自分以外の誰かがここに来る。それは男性か? それとも女性か?
「安心してください。もう一人というのは、あなたもよく知っている人です。それに男性ではありません。女性です」
「女性……。だ、誰ですか?」
「今にわかりますよ」
と、孝信は誰が来るか告げなかった。
とりあえず、男性ではないようである。それを聞き、薫はほっと胸を撫でおろす。どうやら、乱暴されるわけではないようだ。そうなると、一体誰が来るのであろうか? 自分が良く知っている女性。
となれば、自ずと答えは狭まっていく。そう、この宿の従業員であろう。それしか考えられない。この宿には数多くの仲居がいるが、若い人間はあまり多くない。
(一体、誰が来るんだろう)
一層、困惑の色が強まっていく。
そんな時、部屋のトビラがノックされた。
その音を聞き、孝信はスッと立ち上がり、トビラの前まで足を進めた。
そして、トビラをガラッと開ける。
目の前には、着物姿の明美が立っていた。
「お待たせしました」
「やぁ、待っていましたよ。さぁ、中に入ってください」
そう言い、孝信は明美を部屋に招き入れた。
部屋の中央には、座っている薫の姿がある。ここで、二人は対面した。
「か、薫さん。どうしてここに」
驚いた明美が声を出した。
それを聞き、薫が答える。
「お、女将さんことどうして」
「わ、私は……。そ、その」
二人のやり取りを聞いていた孝信は、間に割って入った。
「僕が二人を呼んだんです。仲良くしましょう」
彼の言葉を聞き、薫はサッと理解した。
昨日、部屋にいた女性は明美だったのだ。
孝信は、自分だけでなく、明美とも関係を持っていた。そう考えると、何かこう切なくなっていく。決して付き合っているわけではないのだが、浮気を目撃してしまったかのような気分になるのだ。
同じような気持を、明美も感じている。
「お、尾崎様、これはどういうことですか?」
問われた孝信は、にっこりと笑みを零した。
「いえ、三人で楽しもうかなって思いましてね……。いいでしょ?」
「わ、私、帰ります」
明美はそのまま部屋を出ていこうとする。しかし、それを孝信が止める。
「いいんですか? 僕との関係をバラしますよ。そうなれば、あなたも困るんじゃないですか」
「そ、それは……」
「明美さん、それに薫さん。僕は純粋に三人で楽しみたいだけなんです。その願いを叶えてもらえませんか」
それは無茶苦茶な願いであった。
しかし、一度関係を持ってしまったのは事実である。つまり、弱みを握られていると言っても過言ではない。ここは言うことを聞くしかないのかもしれない。
「薫さん、あなたはどう思っているの?」
と、明美は薫に向かって言った。
「わ、私は……」
薫自身、激しく混乱していた。自分は純粋に孝信と楽しみたかっただけだ。そこに明美が入ってきて驚いているのは確かだ。だが、相手が明美であった良かったような気もしている。
「明美さん、薫さん、まずは親睦を深めるために、二人でいちゃついてみてもらえませんか? 僕はそれを見て楽しみます」
「え、それってつまり」
「はい、レズプレイです。前から興味があったんですよ。女同士のプレイを。僕の前で見せてください」
「し、しかし……」
明美は困惑している。レズプレイなどした経験はない。同時に、自分はヘテロセクシャルなのだ。全く女性に興味はないのである。もちろん、薫も同じである。
固まっている二人を前に、孝信がとどめの一撃を放つ。
「ここでレズプレイをしてくれたら、その後、僕も交じって楽しみます。僕のち×ぽが欲しいでしょう。それに、あなたたちには拒否権はないんです。もし拒否すれば、昨日の関係を大っぴらに告げます。それでもいいんですか?」
もし変な噂が立ては、旅館経営は上手くいかなくなる。そうなってしまっては死活問題になるだろう。それならば、ここで取る選択は一つしかない。
「わかりました。薫さん、覚悟を決めましょう」
「お、女将さん」
先に覚悟を決めたのは明美であった。彼女は来ていた浴衣を脱ぐと、下着姿になった。そして、その恰好のまま薫に近づき、薫の着物を脱がしにかかる。
「え、本当にするんですか?」
「旅館のためよ、我慢して頂戴」
身包みを剥がされた薫。彼女はとても緊張していた。同じくらい、明美も緊張している。そもそも、レズプレイなどした経験がないのだから、何から手を付けていいのかわからない。とりあえず、キスをしてみようか?
「薫さん、目を閉じて」
「目を閉じればいいんですね」
「えぇ。お願い……」
言われるままに、薫は目を閉じた。
薫が目を閉じたのを確認すると、明美はそっと顔を近づけていく。
そして、勢いよく自らの唇を、薫の唇に押し付けた。
ぷちゅ……。
触れるだけのささやかなキスが展開される。
(あぁ、私、女将さんにキスされているんだ)
と、薫は感じていた。
不思議と嫌な感じはしない。むしろ、心の奥底では興奮している。
明美はチュッチュッとキスの雨を降らせながら、やがて手指を、薫の胸に移動させていく。そして、明美の豊満な乳房を指でこねくり回した。
「ふ、ふあぁ、あぁ、おっぱい触らないでぇ」
甘く蕩ける声が、室内に響き渡っていく。
「薫さんも私の胸を触ってみて……」
明美は、薫の手を掴み、その手を自分の胸に押し当てた。
プニっと柔らかい質感が、薫の指に伝わっていく。
(あぁ、凄く柔らかい……)
薫はソフトに胸を揉み始めた。
自分の胸を揉まれながら、他人の胸を揉むのは、どこか変な気分がするのであるが、興奮してしまう自分もいる。
二人の乳房の触り合いを、黙って孝信は見つめていた。
彼もレズプレイを見るのは初めてである。どこか初々しい二人のレズプレイは、奇妙な臨場感があって、孝信を強く興奮させた。ペニスは熱く反応し、浴衣の下で大きくなっていった。
お互いの胸を触り合っていると、明美も薫も変な気分になってきた。性的に興奮してきたのである。とにかく、あそこが疼いて仕方ない。ショーツには、じっとりと染みができ始めていた。
「薫さん、目を閉じたまま座って……。そして足を広げて頂戴」
「足を広げるんですか?」
「そう、私が愛撫してあげるから……」
スッと薫は座り込むと、その姿勢のまま、足を左右に広げた。
ショーツのクロッチ部分には、僅かに染みが浮かび上がっている。その染みを丁寧になぞるように触れていく。
「あぁ、何かゾクゾクします」
「凄く濡れているわ。興奮しているのね」
明美は薫のショーツを脱がした。そして、秘部を解放すると、手指を使って丁寧に愛撫し始めた。ぬらぬらと濡れている蜜壺は、すんなりと指を咥えこんでいく。
「はぁん、そ、そんな風に弄らないでください……」
「気持ちよくなっているのね。でも大丈夫。私もあそこが疼いて仕方ないの」
二人のやり取りを見ていた孝信が、ここで声を出した。
「明美さん、薫さん。二人でおま×こを触り合ってはどうでしょうか? つまり、シックスナインの形になってプレイをするのです。そうすれば、今以上に気持ちよくなれると思いますが……」
孝信の意見を聞き、明美は姿勢を変えた。お尻を薫の方むけ、自分の顔を薫の股部分にもっていく。
「女将さん、ショーツを脱がしてもいいですか?」
「いやん、恥ずかしいわ」
「でも私は脱いでいますし、ショーツがあると、邪魔になって触りにくいです」
「わ、わかったわ、じゃあ脱がして頂戴」
薫は静かに明美のショーツを脱がしていった。
跨っているので、明美の秘部は丸見えになる。同時に、ぬらぬらと愛蜜で満たされていた。
二人は互いの性器を触り合い、そして興奮を高めていく。
手指を使って、秘部を触り同時に陰核を責めた。
「あぁ、そ、そこは感じちゃう。だ、ダメェ」
クリトリスを弄られた明美が喘ぎ声を上げる。
ただ、彼女も負けてはいない。快感に耐えながら、お返しとばかりに、薫の陰核を舌で舐め回し始めた。
これには薫も堪らない、身体をビクビクと痙攣させ、快感に身を捩らせていく。
「いやん、く、クリトリス、気持ちいいですぅ」
二人は徐々にアクメを感じ始めて、動きも鋭くなっていった。
ここで、ようやく孝信が動いた。
明美と薫のレズプレイを見て、情欲が掻き立てられる。もう、見ているだけでは我慢できない。早く自分も交じりたい。そんな風に感じたのである。
孝信は、レズプレイをしている二人の前に立つと、浴衣を脱ぎ捨て、いきり勃ったペニスを解放した。赤黒くギンギンに膨れ上がったペニスは、生き物のように小刻みに震えている。
「明美さん、薫さん、そろそろ僕も混ぜてもらいますよ。まずはどっちから挿れましょうか?」
孝信の問いかけに、二人は黙り込む。
同時に、激しく勃起した肉竿を見て、あそこが疼いていった。
「じゃあ、まずは薫さんのおま×こに挿れてあげます。でも安心してください。直ぐに明美さんにも挿れてあげますから」
そう言うと、孝信は、薫を仰向けに寝かせ、足を大きく広げた。
蜜壺がヒクヒクと震え、ペニスを待ち構えている。
「それでは挿れますよ」
孝信はそう言い、ペニスを秘部にあてがっていった――。
〈続く〉
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