連載官能小説『告白手記』第1回
「告白手記ぃ?」
と、素っ頓狂な声を上げた人物がいる。
それは、20歳の大学生、荒木優希である。
今、優希の前には、一人の女性が座り込んでいる。
二人は駅前のカフェの中で話し合っていた。
女性の名は、徳田絵里奈。優希と同じ20歳の大学生である。
「しっ、優希、声が大きい」
と、絵里奈は人差し指を口元に当てて囁いた。
優希と絵里奈は幼馴染であり、幼稚園から大学までずっと一緒の仲である。
「ごめん、それで告白手記って何?」
優希がそう尋ねると、絵里奈はキョロキョロと辺りを見渡して、
「うん、スポーツ新聞とか、文芸誌に載せる手記のことよ」
「手記って日記みたいなもの?」
「まぁそんな感じ。それで、私もその手記を書くってわけ」
「ふ~ん、なんかよくわからないけれど、凄いじゃん。一端のライターみたいだ」
「そう。これで私もライターデビューよ」
絵里奈は昔から物書きに憧れている節があって、いそいそと小説を書いている。
中学生の頃は、自作のポエムみたいな詩を書いていて、優希はそれを読んだこともあるのだ。また、短編小説を書き上げては、色々な文学賞に投稿しているようである。
ただ、肝心の筆力はイマイチで、数多くの文学賞に送った経験はあるものの、一回も一次選考すら通っていない。箸にも棒にも掛からぬとは、まさにこのことである。
そんな絵里奈がとうとうライターとしてデビューする。幼馴染の優希は、それを嬉しく感じていた。何かこう、夢を叶えたような気がして、自分のことみたいに嬉しくなったのである。
「それで、どんな手記を書くの?」
と、優希は尋ねた。
文芸誌やスポーツ新聞に載るのなら、そのくらいの情報は知っておきたかった。
しかし、絵里奈は顔を真っ赤にさせるだけで、口ごもってしまった。
それを不審に感じた優希は、さらに突っ込んで尋ねる。
「言い辛い仕事なの?」
「う~ん、何ていうのかな、その、えっと、つまりね」
なかなか要領を得ない絵里奈。
早く肝心の答えが聞きたい優希は、彼女を急かし始める。すると、とうとう堪忍したように、絵里奈が答えた。
「エッチな仕事なの」
「は?」
一瞬、何を言っているのかわからなかった。
優希は自分の耳がおかしくなってしまったかと思った。
「今、何て言ったの?」
「だから、そのね、下ネタっていうか、エッチなのよ、その手記」
「エッチな手記って何さ?」
「う~んと、例えば、OLがいるとするでしょ。そのOLが体験したエッチな話を、手記風に書くのよ。それが私の仕事……」
その言葉を聞き、優希は面食らった。
折角、ライターとしての仕事を始めたと思ったら、それがエッチな仕事だった。あまりの展開に優希は口を閉ざしてしまう。
「何か言いなさいよ」
「えっと、そういうのってさ、性経験が豊かな人が書くんじゃないの」
「私も初めはそう思ったの。でもね、こんな話があるのよ」
「話って?」
「童貞が書く、官能小説が一番エロい」
「へ?」
「つまり、性体験を知らなくても想像で書ければいいわけ。私の想像力を試すチャンスだわ」
「まぁいいけどさ。とにかく頑張ってよ。応援してる」
「ホントに応援してくれるの?」
「もちろん、僕にできることがあれば、協力するよ」
結局、その日はそれで別れた。
ただ、この時の優希の言葉が、後々効いてくるとは、この時の優希は全く思っていなかっただろう。
数日後――。
絵里奈が優希の自宅にやって来た。
優希は大学生になってから一人暮らしを始めている。実家から大学まで通える距離なのだが、何となく一人暮らしがしたくて、一人で暮らしているのだ。
そこに絵里奈がやって来た。血相を変えて。
「優希、ちょっと協力して……」
「協力? 何の話?」
「だから例の手記の話よ」
「あぁ、その話。仕事は順調?」
「それがピンチなのよ」
「ピンチってどういうことさ?」
「想像で書き上げて、編集部に送ったんだけど、あんまりリアルじゃないって言われて、書き直しになったの。それで困っているのよ」
「それで、僕に何をしろと」
「あなた私のために脱ぎなさい」
「は?」
「私ね、その、変な話なんだけど、勃起したペニスをみたことないの。だから、優希のペニスがみたいってわけ」
「馬鹿! そんなことできるわけないだろ」
「だって、優希、協力するって言ったし」
「確かに言ったけれどさ。それとこれは話が別っていうか」
「いいから見せてよ。原稿料が入ったら、学食で昼食くらい奢るから」
ペニスを見せて昼食を得る。なんというか、理不尽な話ではある。
しかし、幼馴染が困っているのだ。何とか協力してあげたい。その気持ちはあるのだ。
「性器を見せればいいんだな」
「うん。できれば勃起したのがみたい」
年頃の女の子が勃起勃起言わないで欲しい。そんな風に思いながら、優希は決意を固める。
「勃起するのなら、絵里奈も協力してよ」
「え、何で?」
「だって、何もないと興奮しないもん。勃起しないよ」
「エッチな本くらいあるでしょ」
「持ってないよ。今、エロ本を持っている男子って少ないと思う。大抵DVDだろうし」
「ならDVD見なさいよ」
「レンタルか動画サイトで見るから、今はないよ」
「じゃあどうすれば?」
「僕が脱ぐんだから、絵里奈、君も脱ぐんだ」
「え、えぇぇぇぇ。どうして私が脱がなくちゃならないの」
「だって、僕だけ脱ぐなんて理不尽じゃないか。それに、絵里奈の裸を見れば、勃起すると思うし」
と、正直に告げる優希。
絵里奈は困った顔を浮かべていたが、背に腹は代えられない。今は手記の仕事を完成させたい。その気持ちが、溢れ出てきた。
「わ、わかったわ。脱いであげる」
「ホントにいいんだな」
「その代わり、ちゃんと勃起してよ」
「それは大丈夫だと思う」
優希は、昔から密かに絵里奈に憧れていた。
絵里奈はスタイルもよく、ルックスもアイドル風である。少しずつ女になっていく、幼馴染を見つめては、興奮していたのである。その絵里奈が脱いでくれる。それだけで、気分は高揚してくる。
二人は、部屋の中に入り、そして服を脱ぎ始めた。
絵里奈は下着姿になるまでは勢いが良かったのであるが、ブラとショーツになった途端、躊躇し始めた。
「ねぇ、ホントに脱がないと駄目なの?」
「そうだよ。脱いでよ。僕のち×ぽを見るんだから、絵里奈だっておま×こ見せてくれないと」
おま×こというリアルな単語を聞き、絵里奈は耳まで真っ赤になった。
「自分で脱げないのなら、僕が脱がすけれど」
「わかったわよ。脱げばいいんでしょ」
とうとう、絵里奈は決意を固めた。
まずはブラを外し、その後、ショーツを脱いだ。くるくると丸まったショーツを丁寧に畳むと、それを床の上に置いた。その姿を見た優希もボクサーパンツを脱ぎ、ペニスを露出させる。ただ、まだ勃起はしていなかった。
「まだ、勃ってないわね」
「うん。もっとじっくり見てもいい?」
「え、何をするの?」
「おま×こ、もっとじっくり見たいんだ。床に座って、脚を開いて」
「えぇぇ。で、でもそんな恰好したら見えちゃうしぃ」
「だから見せて欲しいんだよ。そうすれば、完全に勃起すると思う」
ここで引き下がれない。
絵里奈はそう思ったのだろう。渋々、床に座り込むと、くッと脚を広げた。ただ、まだ、大事な部分を手で隠している。
「手をどけて」
優希はまだ童貞である。
だから、女性器を直に見たことがない。それ故に、絵里奈のエッチな姿を見て、みるみるペニスが硬くなっていった。
「あ、おちん×んが大きくなって……」
絵里奈はそう呟いた。そして同時に、
(え、男の人のアレってこんなに大きいの? 嘘でしょ)
硬く隆起したペニスは、絵里奈の想像の遥か上を行った。
彼女自身、まだ処女であり、こんなにも間近でペニスを見た経験はなかったのだ。
我慢できなくなった優希は、強引に絵里奈の手をどけて、鼻息を荒くしながら、秘裂を覗き込む。
ヴィーナスの丘には、ふわふわとした柔らかい陰毛が繁茂していて、そこから下に視線をずらと、割れ目が見える。興奮しきった優希は、絵里奈の大陰唇に指を当て、くいっと左右に押し開いた。すると、小陰唇のビラビラが顔を出し、さらに奥に膣口が見えた。
小陰唇も膣口もキレイなサーモンピンクをしていて、少しだけぬらついているようにも見える。
顔を近づけていくと、ムッと、熟れた果実のような香りが漂ってくる。牝フェロモン臭と言えばいいのだろうか。甘くうっとりとさせる香りである。
「凄い、キレイだ」
「いやぁ、あんまり見ないでぇ」
「絵里奈、触ってもいいかい?」
「え、えぇぇぇ、触るってどこを?」
「決まってるだろ、おま×こだよ」
「ダメよ、だって、そういうのって結婚してからやるべきでしょ」
「そんなの古臭い考えだよ。周りはみんなセックスしてる。だから僕もしてみたいんだ」
「ダメダメ、そんなのダメ。見るだけにしてぇ」
「ゴメン、僕、もう我慢できない」
そう言うと、優希は、指先を膣口に押し当てた。
すると、僅かであるが濡れているのがわかった。
女性が興奮すると濡れるというのを、知識として知っている。
「絵里奈。おま×こ濡れてるよ」
「嘘よ、濡れてなんか」
「嘘じゃないよ。しっかり濡れてるよ。ほら」
そう言い、優希は愛蜜で濡れた指先を絵里奈に見せた。すると、絵里奈はかぁと顔を朱色に染めた。
「絵里奈も興奮してるんだね。なぁ、おま×こもっと触ってもいい? 気持ちよくするから」「う、うぅぅ、ダメだよぉ。私たち友達でしょ」
「もちろん友達さ。でも、友達以上の関係になりたい」
優希は指先を膣内に挿れ、クリクリと刺激し始めた。
途端、絵里なの口から甘い嗚咽が漏れる。
「あぁぁん。そこ弄っちゃダメェ」
「どんどん濡れてくるよ。絵里奈も感じるんじゃないか」
「いやぁぁ、感じてなんかない、もう止めてぇ」
「止められないよ。それに、ここで経験しておけば、もっとリアルな手記が書けるはずだよ。僕はそれに協力してやるんだから、感謝してほしいな」
手記という言葉を聞き、絵里奈は奮い立つ。
物書きに憧れて、ようやく手に入れた仕事なのである。簡単には諦めきれない。
ここでしっかりとしたいい手記を書けば、もっと別の仕事ができるかもしれないのだ。そのためには、今は色々な経験をする必要があるのかもしれない。
「わかった。触ってもいいから、優しくして。初めてなんだから」
「え、絵里奈って処女なの?」
「そうよ、文句ある? あんただって童貞でしょ?」
「うん、童貞だよ、じゃあ二人とも初めてなんだ。ちょっと嬉しいな」
「馬鹿なこと言ってないで、早くしてよ。この体勢恥ずかしいんだから」
「わかったよ。ちゃんと気持ちよくするから……。もちろん、初めてだけど」
優希はそう言うと、指先を胎内の奥の方まで挿入していった――。
〈続く〉
コメント