連載官能小説『エルフにエッチを教えたらあっという間に人気になれました』第7回
「トリスタニア城には、ホワイトエルフの長、カノン女王がいる」
と、イザベラが言った。
トリスタニア城に関して、洋一は全く詳しくない。
「ダークエルフのイザベラさんが、どうして、ホワイトエルフの女王に会うんですか?」
「うむ。それはまぁ色々あってだな……。まぁいい、付いてくるんだ」
イザベラは外に馬を繋いでいたらしく、それに洋一を乗せて走りだした。
イリアの自宅から、王国までおよそ10分ほどである。
「それで、王国には何をしに?」
「カノン女王に会う。実はね、彼女は今窮地に陥っているだ」
「窮地に? 一体なぜ……?」
「それは王国についたら説明しよう。今は急がないとならない」
「わかりました」
一行は無事王国に辿り着き、城門を潜った。
洋一は、初めて見る巨大なお城の存在感にただただたじろいでいた。
「お城って大きいんですね。俺、初めて見ました」
「不思議な奴だな。トリスタニアで暮らしているのに、王国を知らないなんて」
「まぁそれには深い訳がありまして」
「そうか、まぁイイだろう。貴様に付いて来てもらったのは、洋一の力を使ってもらいたいからなんだ」
「俺の力?」
「そう。つまり、性なる力だ。洋一の性力はとにかく凄まじい。これは、私が身をもって体感したからわかるんだ」
「つまり、俺にエッチなことをしろというわけですね?」
「まぁ、早い話そうなる」
「相手は誰です?」
「うむ、それがな、カノン女王なんだよ」
「女王様と……。そ、そんな、恐れ多いですよ……」
「カノン女王は。ダークエルフにも理解があってな。なかなかいい女王なんだ。しかし、今窮地に陥っている」
「そういえばそう言ってましたね。一体どんな理由があるんですか?」
「ホワイトエルフの繁殖方法は知っているか?」
「はい。えっと、神樹を使った奇跡の繁殖って聞いたことがあります」
「そう。神樹と呼ばれる大木のエネルギーを利用し、繁殖していくんだ。また、神樹の力を使って、体力や精神力を維持している。しかしだな……」
「何かあるんですね」
「そう。実はな、神樹の力が弱まっているんだ」
「力が弱まる……」
「あぁ、そうなると、ホワイトエルフたちは窮地に陥る。特に、神樹のエネルギーを使って、女王がホワイトエルフたちに、力を注ぐから、女王が弱ると、ホワイトエルフも弱まるんだ」
「カノン女王が弱っている。それはつまり、神樹の力が弱まっているからですね?」
「その通り、このままでは、ホワイトエルフは死滅するだろう」
洋一の知識では、確かホワイトエルフとダークエルフは敵対しているはずである。
そうなると、気になるのが……。
「えっと、どうしてイザベラさんは、敵対するホワイトエルフを助けようとするんですか?」
「そこにも理由がある」
「その理由、教えてもらえませんか?」
「いいだろう。実はな、カノン女王は私の姉なのだ」
「姉? 姉妹なんですか?」
「母親が違うのだがな……。カノン女王は正規の血筋を引く、由緒正しい存在だ。しかし、私は違う。私は前国王であるアークライト国王の妾との間に生まれた子供なんだ」
王族の詳しい血筋に関しては、洋一は全く詳しくない。
それでも、きっとイザベラというエルフは苦労してきたのだろう。それは見てわかった。「お姉さんを救いたいんですね?」
「そうだ。協力してくれるか?」
「したい気持ちはあるんですけど、可能なんですか? だって、ホワイトエルフたちは、交わるのを拒否してるんでしょ? そうなると、俺がいくら頑張っても無意味なんじゃ……」
「女王の説得は私がする。洋一は精液を注いでくれればそれでいいんだ」
「だけど、ホワイトエルフが交わると、ダークエルフになっちゃうんでしょ? 一国の女王がダークエルフになったら不味いんじゃ……」
「確かにな……。しかし、その点は大丈夫だ」
「え? 大丈夫ってどうして?」
「洋一は不思議な存在らしい。この手を見てみろ」
イザベラはそう言うと、右手の甲を掲げてみせた。
すると、手の甲に何か彫ってあるのがわかる。刻印のような模様が描かれているのである。
「それは?」
「ダークエルフの刻印だ……。エルフが交わりを持つと、右手の甲に刻印が生まれる。そして、性交を重ねるごとに、この刻印の輝きが強くなる。しかし、洋一と寝た時は、この刻印が全く反応しなかった。つまり、洋一は交わりの対象としてカウントされないんだ」
「それはたぶん、俺がこの世界の住民じゃないからですよ」
「そういえば、そう言っていたな。洋一は確か、異世界からやって来たんだよな?」
「そうです。俺は、日本に東京っていう街から来たんです。だから、トリスタニアとか王国とかそんなことは全く知りません」
「恐らくだが、この世界の人間ではないから、性の対象者としてカウントされないのだろう。つまり、洋一、貴様は救世主だ。私に協力して欲しい」
そう言うと、イザベラはぺこりと頭を下げた。
高圧的な態度であったが彼女が、ここまで変化している。だからこそ、洋一は協力したくなったのである。
「わかりました。やってみます」
「ありがとう。洋一……、では行こう」
城門を潜ろうとすると、目の前に衛兵がいるのがわかった。
そして、その衛兵は洋一の姿を見て、キッと槍を向ける。
「人間の男が王国に何の用だ? それにダークエルフまで、通さんぞ」
すると、イザベラが蠱惑的な表情を浮かべて、
「強行突破だ!」
素早く呪文を唱え、イザベラは衛兵をなぎ倒す。そして、洋一の手を取って、一気に王国の中に侵入して行った。
「イザベラさん、イイんですか? こんな乱暴な……」
「こっそり入らなかっただけでもありがたいと思って欲しいな。女王の間は知っている。そこに行くぞ」
当然、女王の間の前にも複数の衛兵が警備している。
しかし、洋一の精液を注がれ、極限まで力が高まったイザベラの敵ではなかった。
「ファイア! 火の精よ。私に力を与えよ」
瞬く間に呪文を唱えると、火の玉を顕現され、あっという間に、衛兵を打倒した。
そして、女王の間に入っていく。
(こんなに強引に入って……、イザベラさん、どこまで本気なんだろう?)
不安は尽きない。しかし、賽は投げられたのである。突き進むしかないだろう。
「カノン女王。突然の来訪失礼致します」
丁寧に言うが、彼女は既に何人もの衛兵を倒している。
「イザベラですね?」
女王の間には、大きな玉座があり、そこにはぐったりとした一人の女性が座っているのがわかった。
(あの人が、カノン女王……、何てキレイな人なんだ)
と、洋一は感じていた。
イザベラと姉妹ということであるが、カノンは桃色の髪の毛をしている。この辺はイザベラと全く違っていた。
「カノン女王。救世主を連れてきました」
と、イザベラは告げる。
救世主という言葉を聞き、カノンの目がカッと見開く。
「救世主。それは予言に書かれている奇跡の存在ですか?」
「そうです。奇跡の存在です。これがその救世主、洋一です」
と、無理矢理玉座の前に、連れられて、洋一は困ってしまった。
カノンは、興味深そうに視線を注いでいる。
「人間の男性ですね? 彼が救世主なんですか?」
「そうです。カノン女王を救ってくれるでしょう」
「神樹の力が日に日に弱まっています。このままではホワイトエルフは滅びるでしょう」
「そうならないために、私が救世主を連れてきました」
「救世主を使って、あなたは何をしようとするのですか?」
「洋一の性なる力を使います。彼の精液には、エルフを活性化させる強い力があるのです」
「イザベラ、あなたもわかっているでしょう? 私はホワイトエルフの女王です。つまり、交わることは許されない」
「もちろん、そう言うのはわかっていました。だからこそ……」
そこまで言うと、跪いていたイザベラがすっくと立ち上がり、風のように俊敏に動き、カノンの頭に手刀を食らわせた。
「カノン女王。少し強引にいきますよ。ですが仕方ないのです」
ぶつくさとイザベラはそう言った。
そして、次に洋一の方を見つめ、
「強引な方法だが仕方ない。ここは強行突破するしかないのだ」
その言葉を受け、洋一は不安になってきた。
女王にこんなことをすれば、ただでは済まないだろう。きっと自分も共犯者として捕らわれるに違いない。
「あの、イザベラさん、何をすればいいんですか?」
「彼女の胎内に、精液を注ぐんだ」
「え? でも、イイんですか? 気絶してるのに……」
「言っただろ。このままではホワイトエルフたちは死滅する。救世主が現れない限りはな」
「さっきも言ってましたけど、救世主って?」
「エルフの聖典『トリス』に書かれている予言だ。ホワイトエルフの神樹の力が弱まった時、奇跡の存在が現れると予言されているんだ。そして、その救世主が洋一だ。救ってくれ! この国を……、お前の力で……」
イザベラは必死であった。
彼女の表情を見る限り、本気のレベルが伝わってくる。やはり、動くしかないだろう。
「わかりましたよ。俺が救世主かどうかはわかりませんが、やってみます……。でも、眠っている女の子を犯すのは、ちょっと気が引けるなぁ……」
「私は部屋の外で見張っている。洋一はカノン女王の胎内に精液を注いでくれればいい。そうすれば、この世界の平和は守られる」
「イザベラさん……」
ダークエルフのイザベラが、ホワイトエルフを守ろうとしている。
そこにはきっと、深い理由があるのだろう。
「洋一、カノン女王を頼む。貴様の力で、この世界を救ってくれ」
「やってみます。不安ですけど……」
いつの間にか、救世主と祀り上げられて、王国の女王と結ばれようとしている。
それも、普通のセックスではなく、夜這いに近い感じなのだ。
(カノンさん、凄くキレイな人だな……)
気を失っているカノンの顔を見つめる洋一。
あまりの美貌に、ムクムクとペニスが反応してくる。
「私は女王の間の外で見張る。すべてが終わったら、呼んで欲しい。わかったな?」
「はい、とにかくやってみますよ。俺の精子を注げばいいんですよね?」
「その通りだ、それで世界は救われる。洋一、貴様は救世主なのだからな……」
そう言うと、イザベラは外に出て行った。残された洋一は、倒れているカノンに視線を注ぎ、自らの分身を解放していくのであった。
〈続く〉
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