告白手記『思い出』第1回
俺には十五離れた、妹のような存在の知り合いがいる。
その女の子の名は、桐生茜。
年齢は十八歳。
今年の春から大学に進学することが決まっている。
俺が住むのは、新潟県の新潟市。
新潟市は、一応政令指定都市だから、それなりの都市ではある。
だが、茜は春から東京の大学に進学する。
だから、しばらくお別れになるのだ。
「健兄、あたしがいなくても寂しなくない?」
健兄というのは、俺の愛称みたいなものだ。茜は俺を、健兄(けんにぃ)と呼んでいる。
ある日、俺は仕事の帰り道、偶然、茜と出会った。
まだ、高校の制服を着ている。
しかし、この制服姿を見るのも、あと僅かか……。
彼女は今、自分がいなくなって寂しくないかと聞いてきた。
さて、どうなんだろう?
寂しくないと言えば嘘になるけど……。
「寂しくはないかな」
と、俺は言っておいた。
寂しいというと、どこか女々しいような気がしたのだ。
「ホントに?」
「ホントに……」
「ふ~ん、あたし、大学に行ったら彼氏ができるかもしれないよ」
「そうかもな」
「嫌じゃないの?」
「嫌? なんでだよ……」
「だって、あたしに彼氏ができるんだよ。健兄、それでもいいの?」
「なぁ、茜、お前、これまでに彼氏がいたことあるか?」
「え? 何を急に……、な、ないけど」
「お前も、もう十八歳だ。なら、彼氏の一人や二人いてもおかしくないよ。だから、素敵な人を見つけろよ」
と、俺は言っておいた。
すると、茜はどういうわけか、ふくれっ面になり、俺を睨みつけた。
「ふ、ふん、いいわよ。大学生活楽しむんだから」
こうして、俺たちは別れた……。
俺は、ずっと新潟県で暮らしていた。だけど、大学は横浜だった。
それで、Uターンで就職したから、新潟に戻ってきたのである。
実家で暮らしてもよかったのだが、一人暮らしの方が気が楽なので、新潟に戻っても、一人暮らしを続けていた。
そして、部屋で夕食を食べながらテレビを見ていると、ふとインターフォンが鳴った。
(誰だろう?)
既に時刻は、夜の八時を過ぎている。
「誰ですか?」
「健兄……、あたし……」
その声は茜だった。
こんな時間に何の用だろう?
「茜、どうかしたのか?」
「うん、ちょっと……入れてくれない?」
「まぁいいけどさ」
俺は茜を部屋に招き入れた。
彼女は制服を着たままだった。
俺の部屋は正直狭い。
八畳のワンルームである。
「どうしたんだよ。急に……」
「ねぇ、あたしってそんなに魅力ないかな?」
「は?」
「だって、健兄、全く手を出してこないじゃん」
その言葉に、俺は驚いた。
茜を女として見る……。
確かに、十八歳は選挙権が与えられているし、大人に近い存在だろう。
だが、俺は茜が赤ちゃんの頃から知っている。
だから、あまり「女」という感じがしなかった。
「手、出せるわけないだろ」
「どうして?」
「どうしてって、そりゃ、お前が高校生だからだ。高校生と、その……、変なことしたら問題だろうが」
「あたしは問題ないよ」
茜はきっぱりと言う。
一体、彼女は何を考えているのだろう?
「お前が問題なくても、俺が大問題だ」
「でも、あたし、もう大学生になるし……、それに、大学に行ったら健兄としばらく会えなくなっちゃうし」
「向こうで彼氏作るんだろ? 頑張れよ」
「ねぇ、健兄……、あたしに思い出を作ってくれない?」
「思い出?」
「そう、あたしを女にして欲しいの」
「女ってお前、何言ってるのかわかってるのか?」
「わかってるよ。だって、大学にいって彼氏ができて、その時処女だってバレたら引かれるかもしれないし」
「引かないよ。むしろ男だったら嬉しいだろ」
「もう、バカ! あたしに言わせるつもり。あたしは初めての相手は健兄がいいの。健兄じゃなきゃ嫌なの」
その言葉に俺は大きな衝撃を覚えた。
初めての相手は俺がいい。
それってつまり……、
「お前、俺のこと好きなのか?」
「バカ! なんでそんな風に聞くのよ。ここまで見ればわかるでしょ」
「ゴメン……。今まで気づかなかったよ」
「健兄は鈍感だもんね。だから、彼女ができないんだよ」
「うるせー」
「とにかく、あたしを女にして欲しいの。いいでしょ?」
「いいんだな? 後悔しないな」
「しないよ。絶対に……」
茜の言葉は真剣だった。
なら、やってやろう。
彼女の思い出をつくる。
そのために、俺は動き出した。
俺はシャワーを浴びる。
その後、茜が浴びて、準備は整う。
俺の部屋は狭いから、ベッドなどは置けない。布団なのだ。
「ホテルとか行くか?」
「ううん、ここでいい」
「そうか」
さて、どうするべきなんだろう。
俺は一応、セックスの経験はある。
ただ、相手がプロだ。
つまり、俺は素人童貞なのである。
キスからすればいいのかな?
「茜、目を閉じろ」
「うん」
「ふぅ」
俺は茜の肩を抱くと、そっと自分の唇を、彼女の唇に重ねた。
ぷちゅっと触れるだけのキスが展開される。
「茜、キスは初めてか?」
「うん。そうだけど、健兄はあるよね」
「まぁ、多少はな」
キスの相手もプロだ。
もちろん、それはココでは言わないが。
しかし、茜がこんな風にキスが初めてとは意外だった。
ルックスはいいし、スタイルも整っているから、きっとモテるだろう。
だけど、彼女は処女を貫いている。
それって、俺のため? なんだろうか??
甘く切ないキスを終えた後、俺は茜をゆっくりと押し倒した。
彼女は制服を着ている。
本当に女子校生としてしまう。
そんな背徳感が、俺を支配していた。
「服、脱がすからな」
「はぅ、恥ずかしいから電気消さない?」
「俺、暗いとよくわからないよ。だから消さない」
「健兄の意地悪……。でもいいけど……。あたしの裸、見たいでしょ?」
「まぁな」
制服を脱がすと、彼女は下着姿になった。
結構可愛い感じの白のショーツとブラ。
レースが施され、ファンシーな感じがする。
きっと、勝負下着というヤツだろう。
普通の女子高生が着るには、少し派手なような気がした。
俺はブラを外す。外した経験がないから、最初は戸惑ったけど、何とか外せた。
彼女の乳房は、結構大きい。
恐らく、Dカップくらいはあるだろう。
「茜、おっぱい大きいんだね」
「いちいち言わないでよ、恥ずかしいから」
「恥ずかしがってる姿が可愛いんだよ」
と、俺は余裕ぶる。
けれど、俺もてんてこ舞いになっている。
何しろ、前にセックスしたのは、既に一年以上も前なのだ。
ふと、指先で乳房に触れてみた。
プルンと弾力があり、指を弾き返す。
優しく揉んでいくと、茜の口元から甘い声を漏れ聞こえてくる。
「んん……、んぁ……」
「乳首も立ってるね。茜、興奮してるんだ」
「バカぁ……、そんなこと言わないで……。当然でしょ。だって、そういうことしてるんだから」
「そうだね。乳首、いじってあげるから」
俺はそう言い、彼女の乳首を捏ねくりまわした。
乳首は花の蕾のように硬くなり、ぷっくりと立ち上がっている。
そこをクリクリと刺激すると、茜の顔がみるみると赤くなっていった――。
〈続く〉
コメント