連載官能小説『猫耳獣人と結婚しました-エッチでラブラブな子作り生活-』第5回
帰り道――。
「健一さん、映画を見てるのにエッチぃことして酷いです」
「ゴメン、つい興奮しちゃって。アリスさんにイジワルしたくなっちゃったんです」
「すっごく恥ずかしかったです。もしも人に見つかったら」
「大丈夫だよ。誰も気づいていなかったみたいだし」
赤焼けた空が、一面に広がっている。
どことなく、哀愁じみた空気が広がるのであった。
「健一さん、もう少し、どこか行きませんか?」
「どこか?」
「はい。どこでもイイです。健一さんは、独身時代どんなところに行っていたんですか?」
独身時代。
それは、結構暗黒の歴史でもあった。
「う~ん、アリスさんは知らないと思うけど……、ネットカフェとか……」
「ねっとかふぇ?」
「そう。漫画とか読めるし、ネットもし放題なんだ。個室になってて、結構落ち着くっていうか……、あぁ、何か根暗な趣味でごめんなさい」
「いえ。ちょっと興味あります。ネットカフェって場所に……」
「ホント? じゃあこれから行ってみる? 二人でも入れる個室とかあるんだよ」
「はい。行ってみたいです」
「じゃあ行こう。そこでご飯食べてもいいしね」
こうして、二人はネットカフェに向かった。
夕暮れのネットカフェは混雑していたが、カップル席がちょうど空いていた。
「ご飯とか飲み物も頼めるんですよ」
と、健一は個室に入っていく。
鍵がかかるタイプの部屋で、完全防音のようであった。
「すごい、こんな世界があるんですね。知りませんでした」
と、アリスは感嘆している。
個室といってもかなり狭い、恐らく二畳程度の部屋だろう。
「少し狭いかもしれないですけど」
「大丈夫です。それに狭い方が、健一さんと密着できますから」
「アリスさん……」
個室は小ぶりなソファと、パソコンがあるだけである。
フロントに頼めば、食事やお菓子などが楽しめる。
「健一さん、その、ここは一体何をするところなんですか?」
と、アリスが素朴な疑問を尋ねる。
それを受け、健一は、
「えっと、パソコンしたり、漫画読んだりですかね……。漫画とかたくさんあるんですよ。アリスさんは読みますか?」
「トリスタニアでは少し読みましたが、こっちの世界の漫画全然知りません」
「そうですよね」
個室にこもってエッチなビデオを見るというのは言わなかった。
「あぁ、あと、動画とかも見れるんです。映画もありますよ」
「そうなんですか、何でもできるんですね。こんな施設、トリスタニアにはありませんから新鮮です」
文明のレベルは、どちらかというと日本の方が優れているようである。
アリスは、恐る恐るパソコンを触って、キャッキャッと騒いでいる。
「映画でも見ますか?」
「でも、昼間も見ましたし……」
「まぁそうですよね。後は漫画読むか、後、ご飯も頼めば持ってきてくれますよ」
アリスは真剣になってパソコンを弄っていたのであるが、その時、不意にアダルトサイトのページをクリックしてしまった。途端、目の前にエッチな女性の姿が……。
「えぇぇ、健一さん、女の子が、女の子が出てきました」
「あぁぁ、ダメですよ、それはエッチなサイトなんです」
「エッチなサイト?」
「そうです、えっと、男性向けのサイトです」
「男性ってことは、健一さんも見るんですか?」
「それはその……、多少は……」
「ムッ、健一さん、見ちゃダメです。こういうの」
「え?」
「だからこういうエッチなものは見ちゃダメです。私じゃ満足できないんですか」
困った問題になった。
確かに健一はアリスを愛しているが、アダルトサイトを見るのは別問題なのだ。
「満足できますけど、その、時々見たくなるっていうか」
「ダメです……、他の女の子見ちゃ嫌ですよぉ」
「アリスさん……」
必死にヤキモチを焼くアリスが愛おしくなる。
そこで、健一は彼女を優しく抱きしめた。
「俺が好きなのはアリスさんだけですから」
「ホントですね?」
「ホントです」
「なら、エッチぃの見ちゃダメです」
「はい。わかりました、もう見ません……」
「約束ですよ」
「はい」
苦渋の決断であったが、アリスの方が大切である。
アダルトサイトとは決別しよう……。と、健一は胸に抱いたのであった。
「あの、健一さん、一ついいですか?」
健一に抱かれながら、アリスは尋ねる。
それを受け、健一は、
「何ですか?」
「あの、その、どうして私を選んでくれたんですか?」
「アリスさんを選んだ理由ですか?」
「そうです。気になってて」
そこで、健一はお見合いパーティーを思い出す。
引っ込み思案な彼は、なかなか女性に声をかけられなかったのだ。
「話しかけてくれたからですかね。それに凄く可愛い人だなって思って」
「私、可愛くないです」
「そんなことないです。可愛いですよ」
「でも、獣人ですよ」
「そんなの関係ないです。俺は、自分に興味を持ってくれたアリスさんを大切にしたいと思ったんです。アリスさんこそ、どうして俺に声をかけてくれたんですか?」
「えっと、優しそうな人だなって思って……、あと、なんというかビビってきたんです。この人だっていう」
「そうなんですか。でも俺、アリスさんに会えてよかったです。ホント幸せですよ。アリスさんは幸せですか?」
「はい、幸せです。今までずっと不幸だったから……」
と、アリスはボソッと告げた。
不幸……、アリスの過去が激しく気になる。
「アリスさん。不幸ってどうして?」
「トリスタニアでは、獣人は差別されているんです。今は、平等っていうことになっているんですけど、まだ差別の色は残っていて、私も色々差別されてきました」
「そうだったんですか」
「だから異世界トンネルができて、こっちの世界と交流が始まった時、私は決めたんです。こっちの世界の人と一緒になろうって」
「俺も……、結構暗黒だったんです」
「暗黒?」
「はい。モテない人生を送ってましたし、友達も多くないから、ずっと孤独でした。そんな自分を変えたくて、異世界の人と交流したいなって思ったんです。それで、あのお見合いパーティーに行ったんですよ」
「私たち、少し似てますね。だから惹かれ合うのかもしれません」
「そうですね。ホント、アリスさんで出会えてよかった。俺、嬉しくて泣きそうです」
そこまで言うと、再び健一は、ギュッと彼女を抱きしめたのであった。
「あの、健一さん……エッチなことしたいですか?」
「えっと、それはまぁ男ですからしたいですけど」
「私、何でもしますから、嫌いにならないでください。それが不安なんです」
「嫌いになんてなりませんよ」
「ホントですか? ホントに……、えっと、可愛い女の子に言い寄られても大丈夫ですか?」
「大丈夫です。それに俺モテませんから。その点は安心してください」
「わかりました。その言葉、信じます……。じゃあ、今回は私が健一さんを気持ちよさせますね」
「俺を気持ちよく……ですか?」
「はい。えっと、ふぇらちおっていうんですよね? その、男性器を舐めるのって」
「そうですけど……、イイんですか?」
「はい、いつも健一さんには気持ちよくしてもらってますから、今回は私はリードします」
「わかりました。じゃあお願いしようかな……、でも、シャワーとか浴びた方がいいですよね? 一日動いたし……、それに、ネットカフェってシャワーもあるんですよ。ちょっと俺、行ってきます」
「健一さん、シャワーとか大丈夫です」
「え? でも……」
「そのままの健一さんがいいんです。だからこのままで」
「そんなに言うなら……」
アリスはソファの上に健一を寝かせると、そのままズボンを脱がしにかかった。
彼のイチモツは、まだそれほど大きくなっていない。
「まだ、おちん×ん小さいですね」
「えっと、その、アリスさんのエッチな姿を見れば元気になります」
「私のエッチな姿?」
「そうです。アリスさんも服脱いでくれませんか? そうすれば興奮できますから」
「恥ずかしいですけど、健一さんのためです。脱いであげます」
と、言い、アリスは服を脱いでいく。
シンプルな白のブラとショーツ姿になり、健一はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「パンツとかも脱ぐんですか?」
「いや、まだ脱がないでください。見えそうで見えないっていうのに、興奮するんです」
「わかりました。じゃあ、このまま、フェラチオさせてもらいますね」
アリスの淫らな姿を見て、健一の怒張は激しくいきり立っていくのであった――。
〈続く〉
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