告白手記『デッサンモデル』第1回
僕は服飾関係の学校に通う専門学生。
今、二十歳です。
僕は今、大いなる一歩を踏み出そうとしています。
それは、絵のモデルを頼むのです。
なぜ、絵のモデルを探しているのかというと、ファッションは人が着る服をデザインするからです。
そうなると、人体の構造を知らないとなりません。
だから、僕の通う学校では、デッサンの時間があります。
でも、僕はその時間をサボってしまい、変わりにモデルを用意して、デッサンした絵を提出しないとならなくなってしまいました。
それで、僕は今絵のモデルを探していました。
街に繰り出し、道を歩く女性に声をかける勇気はありません。
ですから、どうしても知り合いに声をかける必要があります。
そうなると、必然的に声をかける対象は少なくなります。
僕が今回協力を願い出たのは、桐生玲子さん。
玲子さんは今年四十歳の女性ですが、僕の母の仕事の後輩で、僕と面識があります。
僕には兄弟はいませんし、母にモデルを頼むなんてしたくありません。
となると、もう玲子さんくらいしか思い浮かびませんでした。
玲子さんは僕の家から結構近くの、キレイなマンションに住んでいます。
僕も何度か行ったことがありますから、迷わずに行けましたが、やはり勇気が出ません。
もし断られたら……。
そう考えると、憂うつになってしまいます。
だけどやるしかありません。
今回の課題を提出しないと単位が出ません。
そうなると、卒業にも影響してきます。
だから、なんとか玲子さんを説得して絵のモデルをしてもらうのです。
僕は、玲子さんのマンションのエントランスをくぐります。
完全にオートロックですから、まずは彼女の番号をプッシュし、トビラを開けてもらわないとならなりません。
(大丈夫だ。やれる)
僕はそう信じて、インターフォンを押しました。
「あら、和樹君? どうかしたの?」
このマンションはカメラがついていて、向こうに僕の姿が映ります。
だから、玲子さんはすぐに僕だとわかったみたいです。
ちなみに、和樹というのは僕の名前です。
僕は、相田和樹と言います。
「あの、お願いがあって」
「お願い? 何かしら?」
「えっと、その、絵のモデルをお願いできないかなって思って」
「絵のモデル? どうして??」
僕は事情を説明します。
すると、玲子さんは困ったように、
「助けてあげたいけれど、絵のモデルなんて、できないわよ。友達に頼んだら」
「僕、女の子の友達いませんから」
「あら、そうなの。それは困ったわねぇ。まぁ、いいわ、とりあえず家へいらっしゃい。話を聞いてあげるから。一緒に対策を考えましょ」
「ありがとうございます」
僕はこうして、玲子さんの家に向かいました。
玲子さんは一人暮らしをしています。
ただ、住んでいるマンションは広く、一人暮らし用ではありません。
「お邪魔します」
「いらっしゃい、和樹君。久しぶりね」
「はい」
「絵のモデル、探してるんでしょ?」
「そうなんです。ぜひ、玲子さんにやってもらいたくて」
「でも、私なんてオバサンだし、体型だって自信ないわ」
「そんなことないです。玲子さんはキレイですし、スタイルだっていいですよ」
玲子さんは四十歳とは思えない容姿をしている。
若々しいから、二十代と言っても通用しそうです。
ルックスも素晴らしいですし、もちろんスタイルも素敵なのです。
スラっと伸びる手足は、本当にファッションモデルみたいなのです。
だから、絵のモデルにはピッタリだと思うのですけれど……。
「そんなお世辞を言ってもダメよ」
「お世辞じゃないです、ホントですよ。玲子さんはすごくキレイです」
「絵のモデルっていうのは、服を着るのよね?」
「はい、それはまぁ、そうです」
「仕方ないわね。なら、協力してあげる。モデルになってあげるわ」
「え? ホントですか?? ありがとうございます。これで僕、卒業できます」
「ここで断ったら、あなたのお母さんに何を言われるかわからないもの。先輩は厳しいからね」
玲子さんは、僕の母を先輩と呼びます。
既に母は仕事を引退し、今はパート勤めですが、昔は玲子さんと同じ職場で働いていて、いい先輩だったようです。
だから、玲子さんは今でもそれを恩義に感じていて、母を慕ってやってくるくらいなのです。
「着る服って何でもいいのかしら? この服でもいいの?」
玲子さんはシンプルなロング丈のワンピースを着用しています。
今日は休みですから、リラックスしたファッションをしているのでしょう。
「そのままでもいいです。できればカラダのラインが見えるものがいいんですけど、無理はいいません」
「カラダのライン見えるって、そんな若者みたいな洋服持っていないわ。これで我慢してくれる?」
「はい、大丈夫です」
僕は玲子さんをモデルにして、絵を描き始めました。
画力は低いですが、とにかく描くしかありません。
三十分ほど描くと何とか完成しました。
すると、玲子さんは、
「どんな感じに描けたの? 見せて」
「え? いいですけど、下手くそですよ」
「いいから」
仕方なく、僕は作品を見せました。
何だか恥ずかしいです。
「ゆったりしたワンピースって結構描くのが難しくて」
「そうみたいね。着衣って難しいって聞くしね。ウフ。なら、脱いであげようか?」
「へ?」
「冗談よ」
「あ、あぁ、冗談ですか、何か残念だなぁ」
「こんなオバサンの裸なんて見ても嬉しくないでしょ?」
「嬉しいです。むしろ見たいです」
と、僕は勢いよく言ってしまいました。
同時にペニスが熱く反応していきます。
咄嗟に、僕は股間部を押さえました。
「和樹君、どうしてそんなところを押さえているの?」
「それはその、ちょっと」
「手をどけなさい」
「えっと、できません」
「いいからどけなさい」
と、玲子さんはイタズラっぽい笑みを浮かべて、僕の手を跳ね除けました。
すると、もっこりと膨らんだ股間部が見えてしまいます。
「どうして、こんなことになっているのかしら? 説明して」
「そ、それはその、玲子さんが脱ぐとかいうからです」
「私のせいにするの? まったく、あなたって人は、こんなオバサンで興奮していたら、若い子を見たらどうなってしまうの?」
「僕は玲子さんだからこうなったんです。他の女性が言っても、こんな風にならないですよ」
「何を言っているの? だって私なんてあなたから見たら年増じゃないの」
「いえ、玲子さんは魅力的です。僕の憧れですから」
と、僕は正直に告げていました。
そう、玲子さんは僕にとっての憧れです。
ですから、もっと親密になりたいと思っているのです。
「大人をからかったりしたらダメよ」
「からかってないです。僕、玲子さんが……」
「ダメよ、そんなの……、それ以上言わないで」
僕は興奮していました。
ペニスは勃起していて暴発寸前でしたし、このまま彼女を放っておけないと思えたのです。
次の瞬間、僕は玲子さんを抱きしめていました。
「ちょっと、和樹君、何を……、は、離して」
「僕、玲子さんが好きなんです。だから、その、僕の欲望を受け止めてください」
「ダメよ、そんなの、あなたは先輩の子どもなのに……、ちょっといい加減にして」
玲子さんの方が大人ですが、力は僕の方が強いです。
僕はそのまま玲子さんを押し倒しました。
そして、ワンピースの裾を、スルスルと持ち上げていきます。
「ちょ、ちょっと何をするの? 和樹君、止めなさい」
「玲子さん、僕、自分が止められません。ごめんなさい。玲子さんの恥ずかしいところ見せてください」
「そ、そんな、和樹君、落ち着いて。とにかくこんなのダメよ」
玲子さんの声を聞いても、僕の欲望は止まりませんでした。
〈続く〉
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