連載官能小説 『魅惑の終電逃し』第1回

連載官能小説

連載官能小説 『魅惑の終電逃し』第1回

とある調理器具メーカーに勤めている、伊藤浩二は、間近に迫る新商品の発表会に向けて、着々と準備をしていた。

勤続十年。

大学を卒業してから、この世界に入ったから、今年で三十二歳になるのだ。

今日も忙しく、彼は新商品開発のために働いていた。

ただ、あまりに集中してしまったため、彼は終電の存在を忘れていたのである。

同時に、それに気づいたのは、終電が出てしまった後であった。

浩二の自宅は、会社から電車で三十分はかかる。

電車で三十分だから、当然徒歩で帰るのは、不可能に近いだろう。

もし仮に、歩いて帰るのだとすると、朝になってしまうかもしれないのだ。

会社に泊るしかないかもしない……。

と、そんな風に浩二は考え始めた。

ただ、彼の仕事場には、もう一人の人物が残って仕事をしていた。

それは――。

社内のマドンナとして有名な、松本麗禾である。

麗禾は、浩二の上司であり、せっせと新商品の企画アイディアを出していたのである……。

恐らく、彼女も終電を逃したのを察したのだろう。

すっくと立ちあがると、スタスタと、浩二の方までやって来て、

「伊藤君。終電は大丈夫なの?」

と、声をかけてきた。

それを受け、浩二は答える。

「いや、その、乗り遅れてしまいました。ですから会社に泊ろうかと」

「この会社、布団とかないわよ。デスクで寝たら明日の仕事の支障が出るでしょう?」

「まぁそれはそうですが……」

そうはいっても仕方ないのである。

それ以外、方法がないのだから。

すると、麗禾が意外なことを口走った。

「ねぇ、私の家来る?」

と、言ってきたのである。

聞けば、麗禾の家は、歩いても帰れる距離なのだとか。

これは助かる。

と、思った浩二であるが、相手はマドンナ上司である麗禾である。

彼女の自宅に行ってもいいのだろうか?

この事実が、会社の人間にバレたら、何を言われるかわからない。

「俺が行ってもいいんですか?」

と、おずおずと、尋ねる浩二。

すると、麗禾は、

「もちろん、いいわよ、一人暮らしだからそんなに広くないけどね」

そこで浩二はお言葉に甘えて泊ることにした。

二人は会社を出ると、星空が広がる夜の街を歩き始めた。

 

 

線路沿いを、三十分ほど歩くと、麗禾の自宅であるマンションが見えてくる。

しっかりしたオートロック式のマンションである。

普通のアパートで暮らしている浩二にとっては、まさに異世界であった。

エントランスをくぐると、自動トビラがある。

しかし、そこは鍵を開けない限り入れない……。

麗禾は慣れた手つきで、ボタンを操作すると、鍵を開錠し、中に入れてくれた。

「私の家は五階なの。いきましょうか」

そう言い、麗禾はスタスタと歩き始める……。

丁度、エレベーターが一階に止まっており、都合よく五階まで行けた。

このマンションは、どうやら十階建てのようで、それなりの大きいようである。

五階で降りて、奥の方に行くと、そこに「松本」と書かれた表札が目に入ってきた……。

五階の奥。

角部屋であった。

鍵を開錠し、家の中に入る。

正直、浩二にとって、女性の家に行くのは初めてであった……。

実を言うと、彼は、今年三十二歳になるのであるが、未だに童貞なのである。

セックスはおろか、女性と付き合った経験さえないのだ。

だからこそ、初めて入る女性の家に、ガチガチに緊張していた。

「お、お邪魔します」

と、告げ、浩二は玄関に入った。

すると、サンダルウッド系の香りが鼻を突いた。

お香の香りだろうか?

何かこう、異国に来たかのような気持ちにさせるのである。

2LDKの部屋らしく、寝室の他にリビングや仕事部屋があるようであった。

まず、浩二はリビングに通される。

玄関を抜け、真っすぐ廊下を歩くと、広々としたリビングがある。

恐らく。十五畳程度あるだろう。

一人暮らしのリビングとしては、かなり広く感じられた。

キッチンは対面式になっており、リビングの様子を見ながら調理ができる。

また、リビングには大きなテーブルが一台置いてあり、後はソファや液晶テレビなどが鎮座していた。

全体的にシンプルな家具で統一されているので、かなりスタイリッシュな空間であった……。

「適当に座って」

と、麗禾は告げる。

それを受け、呆然と立ち尽くす浩二は、静かにソファの前に進んだ。

座っていいと言われているのである。

とりあえず座った方がいいのだろうか?

女性の家に来た経験のない浩二は、迷ってしまった。

ただ、あまりずっと立っているのもおかしいと思い、恐るおそるソファに座ったのである。

ふかふかとして柔らかい。

それでいて、革張りの仕様であるから高級感があるのであった。

オフホワイトの清潔感のあるソファに包まれていると、浩二は気分がよくなってきた……。

「今、コーヒー淹れるから」

と、麗禾は言うと、キッチンに立ち、湯を沸かし始めた。

コーヒーは豆から淹れるのかと期待したが、そうではなく、簡素なインスタントコーヒーであった。

しかし、それでも文句など言わない。

会社のマドンナが淹れてくれたコーヒーである。

どんなに丁寧に抽出されたコーヒーよりも上手く感じるだろう。

マグカップに並々と注がれたコーヒーを受け取り、軽く口にする。

酸味がありながら、峻烈な苦みがある。

恐らく、インスタントでも高級なものを使っているのだろう。

浩二が普段飲む、安物のインスタントコーヒーとは味が違った。

熱いコーヒーを啜っていくと、仕事の疲れが吹き飛んでいくような気がする。

「コーヒー飲んだらシャワー浴びてきなさい……」

と、麗禾が言った。

シャワーという単語に、童貞である浩二は露骨に反応してしまう。

「し、シャワーですか……、シャワーを浴びて何をするんですか!」

「へ? 仕事の続きをしてもいいけど、伊藤君も疲れたでしょう、早めに休んでもいいわよ。おかしな人ね」

エッチな展開をどうしても期待してしまう自分がいる。

浩二は、そんな自分を恥じながら、コーヒーを一気に飲み干した。

「それじゃ、シャワー借りる前に、コンビニに行って下着とか買ってきてもいいですかね? 替えを持っていないんで」

「すぐに洗って乾かしてあげるわよ。たった一日のために買うなんて勿体ないわ」

どうやら、洗濯までしてくれるようである……。

まさに至れり尽くせりの環境であった。

浩二は、お言葉に甘えてシャワーを借りた……。

浴室は、やや小ぢんまりとしているが、トイレとバスルームは別である。

トイレとバスが一緒になったアパートに住んでいる浩二にとっては、羨ましく感じるのであった。

浴室には、シャンプーやらボディソープやらが置いてある。

どうやら外国製のようで、あまり見たことにないメーカーの商品であった。

どちらも、フローラル系のいい香りがして、まるで麗禾がそばにいるような気分になる……。

(これは松本さんの匂いなのかなぁ、なんだか興奮してきてしまったぞ)

この浴室で、普段麗禾は裸になっているのだ。

その姿を想像すると、ペニスがムクムクと大きくなっていくのであった。

(このままじゃシャワーから出られない。とりあえず一発抜いておくか)

人の家の浴室で手淫をするなど、かなり恐ろしい話ではある。

しかし、浩二は自分の欲求を我慢できそうになかった。

むしろ、ここで抜いておかないと、ずっと勃起したままなのではないかという、奇妙な恐怖があったのである。

彼は、シコシコとペニスを上下に動かし始めた。

妄想だけでも十分にヌケる!

何しろ、ここは麗禾の自宅なのである。

社内でも美人であると有名な麗禾の自宅に来ているのだから、興奮しないわけがない……。

〈続く〉


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