連載官能小説 『魅惑の終電逃し』第8回

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連載官能小説 『魅惑の終電逃し』第8回

幸い、浩二の自宅に向かう電車は、まだ終電が残っており、二人はそれに乗ることができた。

そして、浩二は自分のアパートに綾子を案内したのである。

浩二のアパートは、普通のワンルームだ……。

即ち、それほど広いわけではない。

しかし、予備の布団が用意されているので、問題なく眠れるだろう。

自分の部屋に、女性が入るのは、初めての経験である。

何だか、最近初めてを経験してばかりのような気がする。

自分にも、ようやくモテキと呼ばれる時期がやってきたのだろうか?

「シャワー使うよね? 先に使ってもいいよ……」

「あの、伊藤さん、予備の下着を買い忘れてしまったんですけど、コンビニとか近くにありますか?」

「コンビニか、近くにないなぁ。直ぐ洗ってあげられるから、大丈夫だよ」

「替えの服とかもないです」

「俺のを貸してあげるよ。多分大きいと思うけど」

そう言い。まずは綾子にシャワーを貸してあげた。

一応、替えの洋服も用意する。

簡素なTシャツと、スウェットパンツの予備くらいならあるのだ。

綾子がシャワーを浴びている間、浩二は部屋の掃除をしていた。

少し散らかっているのである。

そして、丁度掃除が終わるころに、綾子がシャワーから出てきた。

入れ違いで、浩二がシャワーを使う。

その時、一緒に彼女の下着類を洗濯するために、洗濯機を回した。

熱いシャワーを浴びると、麗禾との一件を思い出してしまった。

あの日も終電を逃して、その後……、麗禾の家に向かったのである。

今日は、立場は違うが、似たような条件が整っている。

彼はシャワーを浴びると、部屋着に着替えて部屋に戻った。

そこでは、綾子がちょこんと座って、待っていたのである。

髪がしっとりと濡れている。

それが、見様に艶めかしく見えるのであった。

彼女の貸した服は、男性ものなので、やはり大きい。

特に綾子はカラダが小さいので、服に着られている感じである。

しかし、そのダボっとした様子が、とても愛らしく感じられた。

「あ、あの、ドライヤーを貸してもらえますか?」

と、おずおずと綾子が言った。

それを受け、浩二は答える。

「うん。こっちにあるよ」

洗面所に案内して、ドライヤーを貸してあげた。

綾子は、ドライヤーで髪の毛を乾かし始める。

その間、浩二は、軽く軽食を作った。

仕事が遅くまでかかってしまったので、夕食を満足に食べていないのである。

ハムとレタスがあったから、それを使ってサラダを作り、後は野菜のスープを作った……。

これを食べたら、すぐに寝よう。

と、彼はそんな風に考えていた。

やがて、綾子が髪を乾かしてやってくる……。

「三浦さん、軽く食べる?」

と、浩二は声をかけた。

すると、綾子は申し訳なさそうに、

「いいんですか? 何かすみません」

「いいよ、あまり物で作ったから、そんなに美味しいかわからないけど」

「大丈夫です。いただきます」

二人は一緒に食事をした。

女性と食事をするなんて、今までになかった経験である。

だからこそ、浩二は嬉しく感じられた。

食事を終えると、後は寝るだけである。

浩二は、布団を一式出してくれると、それを床に広げた。

彼の寝具はベッドではなく敷布団なのだ……。

「何から何まですみません。ありがとうございます、伊藤さん」

と、恐縮しきった口調で綾子は言った。

「遠慮しないで。困ったときはお互い様だよ……」

二人は眠ることにした。

 

 

とはいっても、女性がそばにいるのである……。

浩二はなかなか寝付けなかった。

やはり、隣に女性がいると、寝付けないのは当然のようである。

綾子は、なかなかのルックスをしており、スタイルもいい。

背はやや低いが、ウサギみたいな感じがして愛らしいのである。

布団の中で、浩二が悶々としていると、隣で寝ていた綾子が、何と浩二の横にやってきたのであった。

「伊藤さん、もう寝てますか?」

と、綾子が声をかけてくる。

それを聞いた浩二は、すぐに答えた。

「いや、まだ起きてるけど」

「一緒の布団に入ってもいいですか?」

「いいのかい?」

「はい。そっちの方が落ち着くんです」

二人は一緒の布団に入った。

シングルサイズの布団であるため、二人はいると、ギリギリである。

「私、伊藤さんっていいなって思っていたんです」

と、突如綾子が言ってきた。

いいなと思っていた?

まさか自分に好意があるのだろうか?

生まれてから三十年以上経っているが、こんな風にして女性に好意を向けられたことはなかった。

前回、麗禾と関係を持ってしまったが、それ以外はまるで女気のない生活を送っていたのである。

だからこそ、綾子の発言に驚いてしまった……。

「三浦さん……。お、俺」

「私、ホントだったら、男の人の家に、ホイホイついていったりしません。でも、伊藤さんだったからついてきたんです」

「そうなんだ」

「あの。やっぱり私って魅力ないんでしょうか?」

と、綾子はややしょんぼりしたように言った。

綾子は魅力満載である。

それは、浩二にもよくわかっているのだ……。

「魅力はあると思うよ」

と、浩二は平静をよそって答えた。

内心、心臓はバクバクと鼓動を立てている……。

「でも、伊藤さんは何もしてきません」

「何もって、当たり前だろ。君を陥れるような真似、できないよ」

「私、初めての相手が伊藤さんだったら嬉しいです」

と、綾子は恥ずかしそうに言った。

聞けば、綾子は処女らしい。

同時に、それを早く卒業したいと考えているのだ。

これは先日までの浩二とよく似た関係である。

浩二自身も早く童貞を卒業したかった。

そして、麗禾に筆おろししてもらったのである。

ならば――、

「俺が相手でいいの?」

「はい。伊藤さんがいいんです」

そこまで言われると、浩二も後に引き下がれない。

しかし、どうしていいのかわからなかった……。

何しろ、つい先日まで童貞だったのである……。

そんな自分に、綾子を気持ちよくすることができるのであろうか?

〈続く〉



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